2006年5月16日(火) <第1501号>
■労働・経営■
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- 【238】CSR(企業の社会的責任)への対応 -
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○新たな取引先獲得のチャンス
CSR(Corporate Social Responsibility)への意識が高い大企業を中心に、取引先の法令順守体制をチェックする動きが相次いでいます。中小企業にとっては、選別される一方で、新たな取引先を獲得するチャンスにもなり得るのではないでしょうか。
○CSRとは
CSRとは、「企業の社会的責任」という意味で、「企業は法律を守り、提供する商品やサービスに責任を持ち、従業員が働きやすい環境をつくり、地域社会に貢献し、地球環境に配慮した活動をしなければならない」といった企業のありかたを表現した言葉です。「社会的」責任とは、「私的」または「自己」責任に対するものといえます。
○欧米からの流れ
日本企業のCSRは、従来、環境対策によって取引先を選別する「グリーン調達」などが中心でしたが、近年は法令順守体制の整備に重心が移ってきました。
すでに欧米の企業の多くはCSRへの対応状況によって取引先を選別しています。日本貿易振興機構(JETRO)によると、某大手メーカーが世界各地の工場に対して労働条件や衛生、環境などの独自基準を示して順守を要請し、その達成状況をチェックし、2004年までに55工場との取引を停止したというケースがあるそうです。日本でも今後こうした動きが出てくることが予想されます。
○今後の展望
現状では、「人手が足りない」、「コストの増加が予想される」などといった理由から、なかなか対策をとれない中小企業が多いようです。
その中で、国際標準化機構(ISO)は現在、CSRの規格化を検討中であり、策定の見通しも立っています。国際規格ができれば取引先企業にCSR導入を求める動きは強まり、対応できなければ取引上の不利は必至であるとみられます。
大企業の要求に応えることは、中小企業にとって負担となる一方、他社との差別化につながるのではないでしょうか。
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