2002年10月28日(月) <第327号>
■中小製造業の戦略的思考・・・5
「市場へのアプローチ」技術からのアプロ−チ(前)
我が国が世界に誇る電機産業、21世紀初頭に殆ど全ての企業が大きな赤字を計上した。松下、ソニ−、日立、富士通、NEC その他、、、、かっての最優秀企業の赤字は実に数兆円にもなったのである。これらの企業に連なる下請け企業も、当然ながら赤字企業が多い。中には倒産に至った企業も多数を数えるに至った。
しかし、そんな状況でも、しっかりとした経営を行い、確実に黒字を計上している中小企業も多く存在している。その共通している点は、先に挙げた、行うべき競争と行ってはいけない競争を峻別して、戦略を立案実行している企業である。
まず大切な事は技術の目標を明確に定め、これを社内で徹底する。企業の規模が小さいほど、技術目標は明確にする事が肝心と考えられる。目標技術は未来を見据え、未来に狙いを定めたたもので無くてはならない。今、100wの明るいろうそくを開発したとする。見た人は一様に驚くはずだ。しかし大きな販売にはつながらない。理由は電機電灯があり、懐中電灯があり、此の方が遙かに便利で安全である。この場合の100wのろうそくは、時代錯誤であるからビジネスにはならない。
独自の技術と言えども、単独で成立している訳ではなく、様々な状況で絡み合って、社会に貢献をしているのだ。人類の歴史に残るような、大発明、大発見ならともかく、中小企業がビジネスとして提供できる技術には、自ずと限度もあり、社会との関わりも大きい。
昨今「選択と集中」と言われる表現が大企業のために使われているが、これはむしろ、中小企業のための言葉である。但し我々中小企業は「選択と集中」ではなく「一点に集中」である。
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