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2007年9月24日(月) <第1996号>
■労働・経営■
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- 【361】75歳以上を対象とした新・医療保険制度 -
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○来年4月から「後期高齢者医療制度」がスタート
2008年4月から、75歳以上の高齢者を対象とした医療保険制度(後期高齢者医療制度)が動き出す予定です。開始まで1年を切りましたが、詳細が決まっていない点もあり、中身はよく知られていないようです。保険料負担や医療の内容はどのように変わるのでしょうか。
○保険料は厚生年金受給者で平均「月約6,200円」か
新制度は、2006年6月に成立した医療改革関連法で導入が決まりました。複数の病気を持つことも珍しくない75歳以上を、現役世代の医療保険と別建てにし、効率化を進めて医療費を抑制するのがねらいです。都道府県ごとに全市町村が参加する広域連合が運営予定のため、保険料も都道府県単位で決定します。
保険料については、各広域連合で保険料を定める条例が今秋以降でないと制定できない見通しで、保険料負担額は今のところ不明です。
ただ、厚生労働省が公表している全国平均の保険料の目安が手掛かりとなり、「年208万円」という平均的な厚生年金受給者の場合、保険料の目安は「月約6,200円」となります。
また、75歳未満の配偶者がいる場合は別途配偶者の保険料も支払いますので、今よりも負担増になると見られています。
全般的には地域や所得の状況によって負担が増えるか減るかは一概には言えませんが、明確に負担増になる人もいます。会社員の子供の被扶養家族になり、子供の会社の健康保険を利用している高齢者です。
従来は高齢者自身は保険料を負担していませんでしたが、新制度では年金収入に応じた保険料を負担する仕組みに変わります。急な負担増を防ぐため、制度加入時から2年間は本来の保険料の最大半額(定額部分)となります。
○医療保険・介護保険の合計負担額に上限設定
病院や診療所で治療を受けたとき、窓口での患者負担はどうなるのでしょう。
75歳以上の場合、かかった医療費の原則1割を負担するというのは従来と同じです。所得が現役並みに多いと判定された場合は、現役世代と同様の3割負担となるところも変わりません。
2008年4月の新制度からは、医療保険と介護保険の患者(自己)負担の合計額に上限が設けられます。これまでは、医療と介護それぞれに1カ月当たりの負担上限などが決まっていましたが、医療と介護の両方を利用している方の負担が著しく高額にならないよう、年間の合計額にも上限を設けることにしました。
一般の合計負担額の上限は年間56万円で、これを超えると超えた分が戻ります。ただし、利用者の側から役所に申請しないと戻ってこない仕組みになりそうです。
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