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2007年6月29日(金) <第1909号>

            
                         ■労働・経営■

     ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                - 【325】見直される65歳以上の介護保険料 -
     ………………………………………………………………………………………
○急激な負担増を抑制するには
厚生労働省は、65歳以上の介護保険料の体系を見直す検討に入ったそうです。保険料は、現在、加入世帯の課税所得によって分かれていますが、こうした「階段型」の設定では加入者の所得が少し増えただけで保険料の段階が上がり、負担が大きく増えるケースがあります。

このため、所得に応じて緩やかに保険料が増減する体系に改めるよう検討するとのことです。ただ、高齢化に伴い介護に必要な保険料の総額は今後も増えることが確実で、負担を緩和するには無駄な給付をなくすなど、介護費そのものの抑制が急務となってきます。

○「階段型」から「斜面型に」
現行の保険料は、本人が住民税非課税で家族に納税者がいる人を基準とし、課税所得の状況によって段階的に負担を増減しています。例えば、世帯全員が非課税なら基準より25%、生活保護世帯なら50%も安くなります。逆に、本人が納税者なら25%以上高くなり、基準額は市町村ごとに異なります。

厚生労働省は、保険料の体系を現行の「階段式」から、加入者の所得の変化に応じて保険料も緩やかに増減する「斜面型」に近い形に切り替える案を軸に検討しています。体系を改めても、加入者から集める保険料の総額は同額を維持したい考えですが、ある時点で負担が急激に増えるケースはなくなると考えられます。

保険料体系の見通しの背景にあるのが、高齢化に伴う介護費の増加です。介護保険料は見直しのたびに上昇しています。加入者の所得段階が上がった場合の負担額が増加し、急激な負担増になるケースが多くなっています。

さらに、税制改正(老年者控除の廃止など)の影響で2006年度は収入が前年度と変わらなくても、自動的に課税対象となり保険料負担が重くなった世帯も多くなっています。

○無駄な給付抑制が不可欠
厚生労働省は、高齢化による今後の介護保険料負担の増加を抑えるため、制度を運営する市町村に対し、介護給付の無駄をなくすための適正化策の徹底を要請しました。市町村の約7割は、ケアマネジャーが作成した介護計画を点検していないなど、過剰請求などに対する監視が甘いといわれています。

介護保険料は、不正請求が毎年数十億円規模に達しています。厚生労働省は、2004年から適正化策を実施するよう市町村に求めてきましたが、実際には人員不足などを理由にまったく実施していない市町村もあります。このため、全国の市町村に対し、実施を徹底するよう強く求め始めたのです。

制度の支え手を増やすため、介護保険料を負担する人を、現在の40歳以上から、20歳または30歳以上に広げる案も検討されていますが、実現するかは不透明です。保険料の負担の増加を抑えるためには、サービスを効率的に提供し、無駄な給付を抑制することが不可欠といえるでしょう。

<バックナンバー>
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【278】「労働審判制度」の利用状況
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【292】企業の子育て支援策と導入効果
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【295】被災時の医療費負担が減免・猶予されます
【296】平成18年度の年末調整について
【297】各業界における人材不足への懸念と対策
【298】話題の「ホワイトカラー・イグゼンプション」とは
【299】「高年齢者雇用確保措置」の実施状況
【300】「行政サービス・住民負担の地域格差」の実施状況
【301】企業による飲酒運転対策への取り組み
【302】会社に無断でアルバイトをしたら
【303】「年収130万円」の壁、働き方で変化
【304】給与は全額差し押さえられる
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【307】定期健康診断の受診は個人の自由なのか
【308】「働く意欲」が強い50代
【309】「景気は拡大」は9割なのに…
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【311】欧州各国における子育て支援の現状
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