2007年6月28日(木) <第1908号> ■労働・経営■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 【324】どうして訪問看護師が増えないのか - ……………………………………………………………………………………… ○訪問看護師の役割・需要の増加 病院・施設での長期入院・入所に代わって在宅療養が推進され、その担い手の要となる訪問看護師の役割が重要になっています。 高齢化社会の進展に伴い、とりわけ医療と介護の両分野にまたがる訪問看護師への需要は多いようです。しかし、そのための事業所である訪問看護ステーションの普及はあまり進んでいないようです。 ○訪問看護師とは 訪問看護師の役割は、患者宅に出向いて健康状態をチェックしたり、リハビリ指導、床ずれ処置、入浴介助、人口呼吸管理などを行ったりすることです。訪問看護サービスを受けた利用者には好評ですが、認知度が低く、サービスそのものがまだまだ普及していないのが現実です。 訪問看護ステーションが制度化されたのは1992年で、翌年に介護保険制度の開始を控えた1999年には、医療法人だけでなく企業やNPO法人にも門戸が解放されました。介護保険の在宅サービスとして期待されましたが、2005年10月時点での訪問看護ステーションは5,300カ所と、当初の目標数値(2004年までに9,900カ所)の約半分に留まっています。 ○法規制、指示書などがネックに 必要度が高い訪問看護師ですが、なぜ増えないのでしょうか。同じ在宅介護サービスの通所介護や訪問介護、それにグループホームの分野では地域に密着した小さな企業やNPOの参入が急増した一方、看護ステーションでは、企業とNPOの運営は全体のうちわずかしかなく、相変わらず医療法人が半数近くを占めます。 その理由の1つは「ステーションには看護師が2.5人必要」と、1人での開業が規制されているのに加え、自宅マンションなどで開業の際にはステーションとして独立性が必要となるなど、開業へのハードルが高いことが挙げられます。 また、法律で看護師の業務は「診療の補助」と「療養上の世話」とされ、前者には医師の指示書が必要とされています。制度改革を望む声は現場に多いようです。 <バックナンバー> 【268】「マザーズハローワーク」の現状と課題 【269】晩婚・晩産化で女性の労働力が上昇 【270】成果主義賃金訴訟で社員逆転敗訴の判決 【271】外国人の従業員を雇う場合の注意点 【272】雇用保険 65歳以上でも新規加入が可能に 【273】コーポレートガバナンスを学ぶ 【274】賞与をめぐる状況 【275】2005年度の概算医療費が過去最高に 【276】雇用保険の基本手当日額が変更 【277】「地域別最低賃金」を2年連続引上げへ 【278】「労働審判制度」の利用状況 【279】横行する偽装請負と労働局による是正指導 【280】社員に対する資格取得援助費用の返還請求は可能か 【281】製造業や飲食業を中心に正社員が不足傾向 【282】仕事に関係のないウェブサイトの閲覧 【283】健康保険料率の上限が2008年度から引上げ 【284】企業におけるパワー・ハラスメント防止対策 【285】育児休業取得者増加への対応が重要に 【286】出産手当金の対象者・受給額の変更 【287】健康保険法改正でどうなる 【288】若年者をとりまく厳しい雇用環境 【289】民間給与が8年連続でダウン 【290】転職で失敗しないために必要なこと 【291】雇用保険料率が引き下げられます 【292】企業の子育て支援策と導入効果 【293】会社が指定した通勤経路の変更は認められるか 【294】「医療安全管理者」指針を作成へ 【295】被災時の医療費負担が減免・猶予されます 【296】平成18年度の年末調整について 【297】各業界における人材不足への懸念と対策 【298】話題の「ホワイトカラー・イグゼンプション」とは 【299】「高年齢者雇用確保措置」の実施状況 【300】「行政サービス・住民負担の地域格差」の実施状況 【301】企業による飲酒運転対策への取り組み 【302】会社に無断でアルバイトをしたら 【303】「年収130万円」の壁、働き方で変化 【304】給与は全額差し押さえられる 【305】医療制度改革に伴う患者の医療費負担引上げ 【306】新しい年金額通知サービス「ねんきん定期便」の概要 【307】定期健康診断の受診は個人の自由なのか 【308】「働く意欲」が強い50代 【309】「景気は拡大」は9割なのに… 【310】会社員の出張が増加しているのか 【311】欧州各国における子育て支援の現状 【312】患者に安心感を与えるクリティカルパス(診療計画表) 【313】日本・ベルギー間の社会保障協定締結 【314】診療報酬の「定額制」を導入へ 【315】派遣社員の事前面接が可能になる 【316】医療機関を悩ます消費税 【317】1年変形制における年休取得日 通常賃金の計算方法 【318】1年変形制における年休取得日 通常賃金の計算方法 【319】「毎月勤労統計調査」2006年分の結果は 【320】企業も派遣社員も知って得する「紹介予定派遣」制度 【321】増加する医療相談・苦情件数 【322】会社分割に伴って行われる転籍 【323】広がらない介護休業取得
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