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2007年6月2日(土) <第1883号>

                   − 「対話」型リーダーの育成 −

大学新卒社員の3人に2人は3年以上も辞めないでいる背景を考えた。職場内で本音ベースで上司とコミュニケーションをとっている若手社員ほど会社を辞めないのではないかと考えた。

辞めない若手社員ほど職場の人間関係の支えられて仕事を続けているのではないか。若手社員は人間関係を重視し、経験を積むごとに仕事の内容を重視する傾向があるし、そつがない若手社員も多いのではないか。

もっとも、そつがないぶん、無理もしない。たとえ周囲とぶつかってでも強引に物事を進めるといったことがないのも事実だろう。

新人類といわれた世代は出世にもあまり関心がないようだし、学業成績もノルマを超えればそれでいいと割り切って、そこそこの数字で切り上げる。

よく言えば、協調性があり、バランス感覚に優れているということになる。悪く言えば、八方美人で、絶対にこれをやり遂げるんだという強い意志に欠けるところがあり、若手社員の中には自分たちを理解していない先輩や上司とはよいコミュニケーションが構築できない、との言い分もあると思うが、上司は会社から少ない人員の中で自分のチームの生産性を上げることを求められているのだ。

疲労困憊している気持ちでは、部下に対して気配りする時間的余裕がないのだ。大学新卒社員が入社3年以内に一人しか辞めないでいるのは、上司が部下の話を聴こうとしているし、上司の成功体験に共感している若手社員も少なくないのではないか。

気になるのは、いまチームワーク(声かけやコミュニケーション)が強みである日本の職場内で朝礼・昼礼・夕礼のあいさつが少なく、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)もしなくなっていることだ。

先ずは部下が話し手で上司は聴き手に徹するコミュニケーションが必要である。次に人事評価制度を結果重視主義からプロセス重視に変えることで途中経過の報告(ホウレンソウ)が大切になり、必然的にコミュニケーションをとる機会が増える。コミュニケーションが活発になれば、いま働いている社員の定着率が高まり、新卒新人社員の離職率が低くなると思う。

若手社員が辞めた理由をあれこれ考えるよりもどうして辞めないのかを分析すればよいのだ。分析結果から必ず規律や規則にとらわれない、コミュニケーションのゴールデンルールが見てくる。そして、部下にそのルールの存在を気づかせることができるのは、戦う上司ではなく、コミュニケーションと気配り(対話)ができる上司しかいないのである。

バブル崩壊後、日本の会社経営者たちは、欧米の経営者から日本企業の強さの象徴と称賛されてきたチームワークの源泉である「対話」型リーダーの育成を怠ってはいないだろうか。

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