2007年5月7日(月) <第1857号> ■労働・経営■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 【322】会社分割に伴って行われる転籍 - ……………………………………………………………………………………… ○社員が転籍を拒否することはできるか 食品メーカーが会社分割方式で外食部門を分社化することになり、新設される外食事業への転籍を社員にもちかけましたが、この転籍に納得がいかないようです。 この場合、社員に転籍拒否権はあるのでしょうか? ○社員の個別同意は必要か 転籍の際は、それまで勤務していた会社との労働契約を打ち切り、別の会社と新たな契約を結びます。一般的にはグループ会社への転籍が多いでしょうが、社員には「会社が変われば労働時間や給与などの条件が悪くなるのではないか?」という不安もつきまといます。 このため、転籍を拒んで解雇された社員が会社を訴えた過去の裁判では、「個別の同意が必要」とする判決が多いようです。 この原則が一部変更されたのが2001年の改正商法で、企業が事業部分を社員ごと切り離す「会社分割ルール」が盛り込まれ、同時に施行された労働契約承継法では、分割される部門の社員は別会社にそのまま引き継がれることになりました。 会社分割に伴って転籍する社員の労働条件は同じまま引き継がれますが、会社は社員と個別の同意なしで転籍させられるようになったのです。 ○「従事の度合い」で拒否可能 しかしながら労働契約承継法は、会社分割で転籍を通知された社員が、分社化される事業にどの程度かかわっているかで、転籍を拒否できるかどうかの権利に差を設けています。 分社化される事業にも携わっているが「主として従事していない」社員は、転籍を通知された場合に会社に対して異議申立てを行うことができます。 反対に、分社化対象事業に「主として従事している」社員がリストアップされた場合は、異議申立てができません。 また、主として従事しているにもかかわらず転籍を通知されなかった社員は、異議申立てをして転籍することができます。会社分割に伴って転籍させる社員を選ぶ際には、会社には合理的説明が求められます。 <バックナンバー> 【268】「マザーズハローワーク」の現状と課題 【269】晩婚・晩産化で女性の労働力が上昇 【270】成果主義賃金訴訟で社員逆転敗訴の判決 【271】外国人の従業員を雇う場合の注意点 【272】雇用保険 65歳以上でも新規加入が可能に 【273】コーポレートガバナンスを学ぶ 【274】賞与をめぐる状況 【275】2005年度の概算医療費が過去最高に 【276】雇用保険の基本手当日額が変更 【277】「地域別最低賃金」を2年連続引上げへ 【278】「労働審判制度」の利用状況 【279】横行する偽装請負と労働局による是正指導 【280】社員に対する資格取得援助費用の返還請求は可能か 【281】製造業や飲食業を中心に正社員が不足傾向 【282】仕事に関係のないウェブサイトの閲覧 【283】健康保険料率の上限が2008年度から引上げ 【284】企業におけるパワー・ハラスメント防止対策 【285】育児休業取得者増加への対応が重要に 【286】出産手当金の対象者・受給額の変更 【287】健康保険法改正でどうなる 【288】若年者をとりまく厳しい雇用環境 【289】民間給与が8年連続でダウン 【290】転職で失敗しないために必要なこと 【291】雇用保険料率が引き下げられます 【292】企業の子育て支援策と導入効果 【293】会社が指定した通勤経路の変更は認められるか 【294】「医療安全管理者」指針を作成へ 【295】被災時の医療費負担が減免・猶予されます 【296】平成18年度の年末調整について 【297】各業界における人材不足への懸念と対策 【298】話題の「ホワイトカラー・イグゼンプション」とは 【299】「高年齢者雇用確保措置」の実施状況 【300】「行政サービス・住民負担の地域格差」の実施状況 【301】企業による飲酒運転対策への取り組み 【302】会社に無断でアルバイトをしたら 【303】「年収130万円」の壁、働き方で変化 【304】給与は全額差し押さえられる 【305】医療制度改革に伴う患者の医療費負担引上げ 【306】新しい年金額通知サービス「ねんきん定期便」の概要 【307】定期健康診断の受診は個人の自由なのか 【308】「働く意欲」が強い50代 【309】「景気は拡大」は9割なのに… 【310】会社員の出張が増加しているのか 【311】欧州各国における子育て支援の現状 【312】患者に安心感を与えるクリティカルパス(診療計画表) 【313】日本・ベルギー間の社会保障協定締結 【314】診療報酬の「定額制」を導入へ 【315】派遣社員の事前面接が可能になる 【316】医療機関を悩ます消費税 【317】1年変形制における年休取得日 通常賃金の計算方法 【318】1年変形制における年休取得日 通常賃金の計算方法 【319】「毎月勤労統計調査」2006年分の結果は 【320】企業も派遣社員も知って得する「紹介予定派遣」制度 【321】増加する医療相談・苦情件数
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