2007年3月22日(木) <第1811号> ■労働・経営■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 【312】患者に安心感を与えるクリティカルパス(診療計画表) - ……………………………………………………………………………………… ○「クリティカルパス」の浸透 入院患者に対して手術や検査、使用する薬剤などの計画を示すクリティカルパス(診療計画表)が浸透し始めています。 退院時期のめどや概算費用がわかりやすく、安心して診療を受けられる仕組み作りが進んでいるようです。 ○「クリティカルパス」とは クリティカルパスは、入院時に必要な手術、検査や看護などの項目を時系列でまとめた、いわば治療のスケジュール表です。1990年代後半から取り組みが始まり、現在では約6割の病院で利用されています。 食事や排泄といった生活に関する制限に加え、何日目に病院側からどのような説明・指導を行うかなども書かれているケースが多いようです。 また、十分な説明と同意に基づく医療を行うのに役立ち、入院の流れを患者自身が把握できることから、退院時期が予測でき、職場復帰の見当がつきやすいのも特徴です。 ○医療の質も向上 医療機関側にもメリットは大きく、各疾病のクリティカルパスを作成し、見直しを繰り返すことにより、治療方法を効率化して平均在院日数を減らすことができ、ひいては医療費削減の効果もあるとされています。 しかし、ただ単に治療の過程を表にすればいいわけではなく、医療の知識がない患者でもすぐに理解できるよう、作成には工夫も必要です。 ある県立病院では、専門用語を排し、点滴や薬は特徴を捉えたイラストを用いるなどして患者がわかりやすいパスの作成を心がけているとのことです。 ○クリティカルパスは標準的な目安 患者にとって注意が必要なのは、クリティカルパスはあくまでも標準的な治療行程を示したものだということです。容態が急変したり、感染症を起こしたりして、パス通りに進まないケースも多々あります。 このような場合は、最初のパスを中止して個別に対応するか、別のパスを用いるケースが多いようですが、患者にしてみれば当初の計画通りに治療が進まないと不安を感じがちです。 万一、パスと実際の診療が異なったり遅れていたりする理由の説明を受けていなければ、医師や看護師に質問してみたほうがよいでしょう。 <バックナンバー> 【268】「マザーズハローワーク」の現状と課題 【269】晩婚・晩産化で女性の労働力が上昇 【270】成果主義賃金訴訟で社員逆転敗訴の判決 【271】外国人の従業員を雇う場合の注意点 【272】雇用保険 65歳以上でも新規加入が可能に 【273】コーポレートガバナンスを学ぶ 【274】賞与をめぐる状況 【275】2005年度の概算医療費が過去最高に 【276】雇用保険の基本手当日額が変更 【277】「地域別最低賃金」を2年連続引上げへ 【278】「労働審判制度」の利用状況 【279】横行する偽装請負と労働局による是正指導 【280】社員に対する資格取得援助費用の返還請求は可能か 【281】製造業や飲食業を中心に正社員が不足傾向 【282】仕事に関係のないウェブサイトの閲覧 【283】健康保険料率の上限が2008年度から引上げ 【284】企業におけるパワー・ハラスメント防止対策 【285】育児休業取得者増加への対応が重要に 【286】出産手当金の対象者・受給額の変更 【287】健康保険法改正でどうなる 【288】若年者をとりまく厳しい雇用環境 【289】民間給与が8年連続でダウン 【290】転職で失敗しないために必要なこと 【291】雇用保険料率が引き下げられます 【292】企業の子育て支援策と導入効果 【293】会社が指定した通勤経路の変更は認められるか 【294】「医療安全管理者」指針を作成へ 【295】被災時の医療費負担が減免・猶予されます 【296】平成18年度の年末調整について 【297】各業界における人材不足への懸念と対策 【298】話題の「ホワイトカラー・イグゼンプション」とは 【299】「高年齢者雇用確保措置」の実施状況 【300】「行政サービス・住民負担の地域格差」の実施状況 【301】企業による飲酒運転対策への取り組み 【302】会社に無断でアルバイトをしたら 【303】「年収130万円」の壁、働き方で変化 【304】給与は全額差し押さえられる 【305】医療制度改革に伴う患者の医療費負担引上げ 【306】新しい年金額通知サービス「ねんきん定期便」の概要 【307】定期健康診断の受診は個人の自由なのか 【308】「働く意欲」が強い50代 【309】「景気は拡大」は9割なのに… 【310】会社員の出張が増加しているのか 【311】欧州各国における子育て支援の現状
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