2006年12月13日(水) <第1712号> ■労働・経営■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 【293】会社が指定した通勤経路の変更は認められるか - ……………………………………………………………………………………… ○通勤経路は勝手に変更してもよいか 自宅から会社までの通勤経路は、電車やバスの乗り継ぎ方などにより、費用や所要時間が変わる場合があります。そこで、会社が指定した経路よりも費用は高くなるが、所要時間は短くなる経路に変更したいような場合、その変更は認められるのでしょうか。 ○通勤手当は会社が負担すべきか 多くの会社は通勤手当を支給していますが、労働基準法上、通勤交通費について何らの定めはありません。 雇用契約を締結すれば、労働者には会社に労働力を提供する義務が生じ、提供前後にかかる費用は労働者の負担となり、原則、会社に通勤手当を支払う義務はありません。 通勤手当を支給する会社が多いのは、待遇を良くして優秀な人材を確保する狙いがあるからであり、通勤手当については就業規則に定めておくのが一般的です。就業規則に明記されれば、会社側に支払義務が生じることとなります。 ○通勤経路はどう決めるか 一般的には、社員の申請を会社が承認するケースが多く、社員の希望に沿った通勤経路となる場合が多いようです。しかし、最近では、経費削減を理由に会社側があらかじめ通勤交通費が安い経路を指定し、社員にはその金額分しか支給しないケースも増えているようです。 会社には通勤経路の決定について一定の裁量権があります。したがって、最短ルートより時間がかかったとしても、会社にとっての無駄を省くことができ、社員がある程度恩恵を受けられる範囲であれば、社員の変更申請を拒んでもよいと考えられます。 ○派遣社員の場合 就業規則で通勤手当の支給について定められていても、派遣社員には支給されないケースもあります。派遣社員は派遣先企業と雇用関係にはないため、通勤手当については派遣元(派遣会社)との取り決めが優先されるからです。 現状では、派遣社員には通勤手当はほとんど支給されていないようです。 <バックナンバー> 【268】「マザーズハローワーク」の現状と課題 【269】晩婚・晩産化で女性の労働力が上昇 【270】成果主義賃金訴訟で社員逆転敗訴の判決 【271】外国人の従業員を雇う場合の注意点 【272】雇用保険 65歳以上でも新規加入が可能に 【273】コーポレートガバナンスを学ぶ 【274】賞与をめぐる状況 【275】2005年度の概算医療費が過去最高に 【276】雇用保険の基本手当日額が変更 【277】「地域別最低賃金」を2年連続引上げへ 【278】「労働審判制度」の利用状況 【279】横行する偽装請負と労働局による是正指導 【280】社員に対する資格取得援助費用の返還請求は可能か 【281】製造業や飲食業を中心に正社員が不足傾向 【282】仕事に関係のないウェブサイトの閲覧 【283】健康保険料率の上限が2008年度から引上げ 【284】企業におけるパワー・ハラスメント防止対策 【285】育児休業取得者増加への対応が重要に 【286】出産手当金の対象者・受給額の変更 【287】健康保険法改正でどうなる 【288】若年者をとりまく厳しい雇用環境 【289】民間給与が8年連続でダウン 【290】転職で失敗しないために必要なこと 【291】雇用保険料率が引き下げられます 【292】企業の子育て支援策と導入効果
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