2006年8月5日(土) <第1582号> ■労働・経営■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 【260】現場に学ぶ「就業実習」 - ……………………………………………………………………………………… ○人材育成のための新たな職業教育システム 「デュアルシステム」と呼ばれる、産業界と学校が連携して人材を育成する職業教育システムが創設されています。在学中に、企業においてインターンシップよりも長期の職業訓練を受けさせ、そこで必要とされる実践的な技術・技能の体得を目指すといったものです。 例えば、1年次にはまず職業観や社会で有用なマナーを学び、その後にインターンシップを3社行います。2年次にはこの3社から1社を選び、2ヶ月間「長期就業訓練」と称する企業実習を受けます。3年次にも長期就業訓練を受け、3年間で最長7カ月にも及ぶインターンシップと長期就業訓練を受けることとなり、これらすべては卒業単位に認定されます。 派遣先の企業で仕事を学ぶことが、学校での学習であると認められるシステムになっています。 ○学生時代から職業体験をするメリット 職業訓練を終えた生徒たちからは、以下のような声があがっているそうです。「働くことは自分の生活のためであり、また、働くことで会社のためになることがわかった」 「将来は資格をとって頑張りたい」 「長く仕事を続けるには、自分に合った仕事でないと続かないことがわかった」 学校生活だけでは得られない社会体験が、学校生活の質の向上にもつながっているようです。学生時代から職場の雰囲気を肌で感じることで、若い時期から職業感を磨くことにつながるといえるでしょう。 ○企業にとってもプラス 一方、企業からも、以下のような好意的な反応が寄せられているようです。 「当社に就職しなくても、地元で働いてほしい」 「工場が減る中、ボランティアとして地元に貢献していると住民にアピールできる」 「採用して中堅幹部候補として育てたい」 企業側としても学生を迎えることをプラスに考えている面も多く見受けられます。 ものづくりの現場では、熟練技術者の大量退職時期を間近に控え、後継者育成が課題となっている企業も増えています。そんな中、就業実習によって学生の時期から職業感を磨くことで卒業後に就職した生徒が不適応を起こして離職することを減らし、また、企業としても人材確保・育成につながっていけば、今後ますます就業実習は広まっていくでしょう。 <バックナンバー> 【245】診療記録をITで提供 【246】支給日前に退職する者への賞与不支給は可能か 【247】早朝や深夜の出張のための移動は時間外労働か 【248】社員のブログでの書込み 【249】新入社員と上司がそれぞれに求めたことは何か 【250】取引先からもらったチケットを売るとダフ屋行為になるのか 【251】パートタイム労働者の活用が重要に 【252】高額医療費の申告漏れ防止のための通知サービス開始 【253】米国の年金を申請するには 【254】健康保険・厚生年金保険の報酬の支払基礎日数が変更 【255】「最低賃金」って何 【256】国によって「少子化社会」に対する意識が違うのか 【257】病院で保険が使えない場合に要注意 【258】「食育推進基本計画」の推進 【259】仮眠中は労働時間とならないのか
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