2006年8月4日(金) <第1581号> ■労働・経営■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 【259】仮眠中は労働時間とならないのか - ……………………………………………………………………………………… ○時間外手当はもらえないのか 泊まり勤務のある職場に勤務していて、泊まり勤務の日は職場の仮眠室で仮眠をとり、緊急時に起きて業務に対応しているという労働者の方もいると思われます。 その場合、会社側から「仮眠時間は労働時間ではない」と言われ、時間外手当などをもらっていないケースもあるでしょう。では、本当に仮眠時間は労働時間とならないのでしょうか。 ○判例による労働時間の定義 労働基準法には、どのような時間が労働時間に該当するのかを定義した規定はなく、朝礼、着替え時間、待機時間など、実作業を伴わない時間が労働時間に該当するかどうか、裁判で争われた例も多くあります。 着替え時間などの扱いをめぐる2000年3月の三菱重工業長崎造船所訴訟・最高裁判決で、「労働時間とは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるか否かで客観的に定まるもので、労働契約、就業規則、労働協約などの定めにより決定されるべきものではない」と判示されており、この判断が現在のところ一般的であり、学説上も評価されているようです。 つまり、仮眠時間であっても仮眠室にいることが義務付けられているなど、場所的拘束力を受けていたり、何かあれば対応しなければならなかったりするような状態にある場合は、使用者の指揮命令下にあり、労働基準法上の労働時間に該当するといえます。 ○労働時間とみなされたら 仮眠時間が労働時間とみなされた場合には、労働契約に基づいて「宿直手当」などが支給されていても、法定時間外・深夜の割増賃金は労働基準法上の権利として、別途、さかのぼって請求できることがあります。 会社側は仮眠時間について、稼働時間が少ないなどの理由により通常の基礎賃金よりも少ない時間単価を設定することは可能ですが、時間外割増賃金分としては通常の基礎賃金の25%以上を、深夜であればさらに25%以上を割増した金額を支払う必要があります。 <バックナンバー> 【245】診療記録をITで提供 【246】支給日前に退職する者への賞与不支給は可能か 【247】早朝や深夜の出張のための移動は時間外労働か 【248】社員のブログでの書込み 【249】新入社員と上司がそれぞれに求めたことは何か 【250】取引先からもらったチケットを売るとダフ屋行為になるのか 【251】パートタイム労働者の活用が重要に 【252】高額医療費の申告漏れ防止のための通知サービス開始 【253】米国の年金を申請するには 【254】健康保険・厚生年金保険の報酬の支払基礎日数が変更 【255】「最低賃金」って何 【256】国によって「少子化社会」に対する意識が違うのか 【257】病院で保険が使えない場合に要注意 【258】「食育推進基本計画」の推進
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