2006年5月30日(火) <第1515号>
「あっ、そうか!」(第55回)
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■ 【55】部下を動かす難しさがある ■
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Q.あなたは【号令】で部下を動かしていませんか?
仕事の現場で部下を【号令】で動かせるのは、あなたが陣頭指揮をしている時だけです。それでも、部下は"やっても大丈夫だ"という確信がないとなかなか動けないません(不安があっては行動は及び腰になります)
【号令】で人を動かすためには、あなたの【号令】に従うことに安心感や義務感を持ってもらうところまで、事前の準備、教育が必要になります。【号令】で人を動かすことはそれ程難しいのです。部下は号令に従って実行すれば、結果についての責任はないのです。【号令】で人を動かした場合の結果に対する責任はすべて上司にあります。
私たちの仕事では、緊急度、仕事の場の広がりから考えて、【号令】で人を動かさねばならないケースは少ないのです。【号令】で部下を動かすことは難しいので、【命令】や【訓令】で動かせばいいのです。
【命令】や【訓令】では「あなたの意図」の明示が不可欠です。あなたは一番に「あなたの意図」すなわち「仕事の目的」から明快に話すことにします。「あなたの意図」が明示されたら、部下は自分の仕事の目的が分ります。
あっ、そうか、目的を納得したら、部下は自分から動いていくんだ!
勿論、一人ひとり経験も能力も違います。部下をはじめから「あなたの意図、仕事の目的」の明示(訓令)だけで動かそうと思っても、経験不足、能力不足では不可能です。はじめは、どんな場合でも【命令】の形が必要です。
まずは自分の意図、すなわち仕事の目的を示し、納得させ、部下の経験、能力に合せて、次に部下の任務、すなわち仕事の手順、方法を指示し、与えて、仕事を遂行させます。そして、仕事を遂行していく中で、部下に経験をつませ、育てていきます。
命令に不可欠の要素は「上司の意図」と「部下の任務」の明示です。このどちらかを欠けば【命令】ではありません。部下の任務だけを示したものは【号令】であり、「上司の意図」だけを示したものは【訓令】なのです。
そして、ナポレオンの時代には、【号令】で部下を動かせるのは声の届く範囲、【命令】は馬に乗って走れる範囲、それ以上離れている部下は【訓令】でしか動かせないといわれていました。
私たちの仕事でいえば、「上司の意図」が仕事の目的にあたり、「部下の任務」が仕事の手段、手順、方法となります。部下に指示を出す場合、組織の大小、仕事の性質、部下の能力と性質などにより、また、組織がおかれている状況(要求される時間的余裕、現場の広さ)により、【号令】、【命令】、【訓令】の3つをうまく使い分けると、部下は期待する結果を出してくれます。
(エッセイスト 大前乃英雄)
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