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2006年5月23日(火) <第1508号>


                      「あっ、そうか!」(第48回)

母親が死の床に伏しており、その周りを子どもたちが囲んでいます。その場面では、子どもたちの身体が、同じ方向に傾いています。

子どもたちは、示し合わせて、意識的に同じ方向に身体を傾けているわけではなく、母親を悼む気持ちがお互いに作用しあって、自然(無意識)に母親の方に身体が傾いていきます。

これは人間における無意識のうちに共感する能力を表しています。

                                         (「東京物語」の一場面から)

┏━━━━━━━━━━━┓
■【48】他人の痛みがわかる■
┗━━━━━━━━━━━┛

「他人の痛みがわかるような子どもになってほしい」

他人が悲しんでいれば、自分も悲しみ、他人が喜んでいれば、自分も喜びます。
また、相手が泣いたときに、自分も泣く。相手が笑ったときに、自分も笑う。
これもまた、相手の心の状態に感応する能力です。

あっ、そうか、他人に共感する能力は、
人間が社会生活を円滑に営む上で欠かすことができないんだ!


幼児は親からのコミュニケーションの暗黙の規則(いつ話しいつ聴けばよいかに関する知識、会話のリズム)を獲得するようです。それらは、これもまた徐々に学習していく個々の単語と同じくらい、重要です。

このリズムは、多くの微妙な手がかり(アイ・コンタクト、かすかな頷き)によって決まってくるのですが、幼児はこれらを母親や父親との"ベビートーク"に従事するなかで学習します。

そうした対話の分析から、生後たった2ヶ月でさえ、赤ちゃんは大人の会話のパターンをいくらか把握していることが分かっています。それは脳の中に視覚情報を解析する何らかの経路があるのでしょうか。

                                           (エッセイスト 大前乃英雄)

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