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2006年2月25日(土) <第1421号>
■労働・経営■
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- 【205】タクシー運転手の最低賃金 -
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「最低賃金制度」とは、最低賃金法に基づき、国が賃金の最低限度を定め、使用者はその金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。
例えば、タクシー運転手の賃金制度が、固定給と歩合給とが併給される場合であっても、オール歩合給の場合であっても、給与額を1時間当たりに換算した金額が、都道府県ごとに定められた最低賃金額未満となった場合、最低賃金法違反となります。
固定給と歩合給が併給される場合、ある月の賃金を、総支給額142,594円、そのうち固定給(ただし、精皆勤手当、通勤手当および家族手当を除く)85,000円、歩合給35,000円、所定労働時間を170時間、時間外労働時間を30時間、深夜労働時間を15時間と仮定します。
<固定給に対する時間外割増賃金は>
85,000円÷170時間×1.25×30時間=18,750円
<固定給に対する深夜割増賃金は>
85,000円÷170時間×0.25×15時間=1,875円
<歩合給に対する時間外割増賃金は>
35,000円÷200時間×0.25×30時間=1,313円
<歩合給に対する深夜割増賃金は>
35,000円÷200時間×0.25×15時間=656円となります。
固定給と歩合給が併給されている場合は、それぞれ時間当たりの賃金額を算出し、これらを合算したものが時間当たりの賃金額となります。
<固定給部分については>
85,000円÷170時間=500円
<歩合給部分については>
35,000円÷200時間=175円
固定給と歩合給の合算額は675円となります。この時間当たりの賃金額675円をその地域の最低賃金と比較することになります。オール歩合給の場合、歩合給を130,000円、所定労働時間を170時間、時間外労働を30時間、深夜労働時間を15時間と仮定します。歩合給は、130,000円。
<時間外割増賃金は>
130,000円÷200時間×0.25×30時間=4,875円
<深夜割増賃金は>
130,000円÷200時間×0.25×15時間=2,438円
<総支給額は>
130,000円+4,875円+2,438円=137,313円となります。
時間当たりの賃金額の算出は、所定労働時間に関係なく、タクシー運転手がその歩合給を得るために働いた月間総労働時間をもとに算出します。歩合給とは別に時間外(30時間分)および深夜(15時間分)の割増賃金の支払いが必要ですが、時間当たりの賃金額の算出に当たっては、これら割増賃金は算入しません。
<時間当たりの賃金額は>
130,000円÷200時間=650円で、これと、その地域の最低賃金を比較することになります。時間当たりの賃金額が最低賃金を下回る場合、最低賃金法違反となり、最低賃金額に達するまでの賃金の差額およびその差額に対する割増賃金を支払う必要があります。
なお、歩合給の中に時間外および深夜の割増賃金を含めている事業場も一部見受けられます。しかし、このような賃金の支払方法は、歩合給相当部分と割増賃金相当部分の区分が不明確であり、割増賃金を計算する上での通常の労働時間の賃金が明らかでないので、適切といえません。
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