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2005年12月19日(月) <第1353号>
■労働・経営■
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- 【200】受動喫煙で病気になったら -
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2003年5月に健康増進法が施行され、事務所、公共施設、飲食店などの管理者に受動喫煙の防止対策が義務付けられています。ある製薬会社の今春の調査によると、上場企業の96.5%が何らかの対策をとっているとの結果で以前に比べ被害防止の取り組みは大きく前進しています。
もし職場での受動喫煙で健康を害した場合、会社に補償を求めることはできるのでしょうか。
○職場での対策は
健康増進法での対策には職場を全面禁煙か分煙にするなどの方法がありますが、これらの対策は努力義務で、違反した場合にも罰則はありません。仮に会社が対策をとっていても、社員に徹底されていないケースも多いでしょう。
上司に「たばこを吸っていいか」と聞かれた場合、非喫煙者の6割が断れないという調査もあり、こうした事態を「スモハラ」と呼ぶこともあります。
たばこ関連では1980年以降、職場やJTなどを相手に20件以上が裁判で争われましたが、原告の勝訴は1件だけで、通常はたばこと病状の因果関係が十分解明されていないとして、棄却されることが多いです。
○最近の主な判例
最近では、2004年東京都江戸川区の職員が受動喫煙によって喉頭炎を患ったとして、医療費と慰謝料の合計31万5,650円の請求に対し、区から5万円の慰謝料を勝ち取った判例があります。
2003年に京都簡易保険事務センター職員らが受動喫煙によって230万円の損害賠償と同センターの全面禁煙要求をした裁判では、原告の要求が棄却されています。
また、2004年にはJR西日本社員の乗務員詰め所などの禁煙化と計1,100万円の損害賠償請求が棄却されています。
ただ、今後は状況が変わる可能性もあります。煙害に悩むなら、まず部署の責任者に相談し、それで改善されない場合は因果関係の証明義務がそれほど厳しくない裁判所の仮処分で分煙を求めることもできます。
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