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2005年8月19日(金) <第1231号>

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                     - 【163】中年は人生の正午 -
     ………………………………………………………………………………………
 中年という言葉を耳にするだけで、憂鬱になる人も多いのではないでしょうか。汚い、臭い、疲れている、夢も希望もない…。これが世間の中年に対する評価ではないでしょうか。 

 心理学者のカール・ユングは、39歳が人生の変局点であり、40歳以降に真の個性化が始まると述べています。実際には、私たちの平均余命が延びているので、45歳くらいが人生の変局点ではないでしょうか。ユングは自身の中年論で、中年を「人生の正午」とも表現しています。

 「中年」とは文字通り年齢的に人生の半ば、40代は人生の折り返し点といえます。人生が無限に思えた青年期と異なり、40代になると定年や死から逆算して生きることができるようになります。自分の能力や今までの経験から、今後の夢を漠然とではなく冷静に吟味することができるのです。

 レースの中間点でタイムを確認するマラソンランナーのように、中年期においては自らの夢を現実の前で再確認することができます。青年のように若くはないが、経験はもう十分積んでいます。老人のような知恵はないが、まだ時間は十分にあります。

 人間は中年期を境に、さらに成長する人とそこで止まってしまう人に二分されるそうです。心理学者のエリク・エリクソンは、「自ら生産的、創造的にふるまいつつ、若い世代に意味のあるものを残す」ことを「世代継承性」と呼んでいます。この言葉どおり、次世代のために何を生み出すかが、中年期の課題になります。

 世代継承性を放棄した中年に起きやすいのが、「停滞」と「自己耽溺」です。停滞とは、「どう頑張っても、自分はこの程度で終りだな」と考えることです。自己耽溺とは、趣味や異性に逃げることです。停滞と自己耽溺のワナにはまると、後は失速するだけです。

 40代の折り返し点に立って、自分は何が得意か、何をやりたいのか、どんなことに意味を感じるのかを、今一度吟味すべきです。

 ワイングラスを眺めて、「もう半分しかない」と嘆く人と、「まだ半分ある」とワクワクする人の違いは大きいものです。夢を持ち続けることで、疲れた中年ではなく、元気中年になりませんか。

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