2005年6月30日(木) <第1181号> 「沈黙は金なり」(『聴く』)(第30回) − 相手の話をじっくり聴くとコミュニケーションが円滑になる − 【30】相手の感情を受け止める 説明は長い人ほど、聞く態度が見られない人です。 相手に説明しなければならないと思うのは、自分の話がわかってもらえないときです。 このようなとき、案外こちらが相手のことをわかっていないケースも多いのです。 「これだけ説明してもわかっていただけませんか」 というような場合は、相手の心がわかっていないのです。 話には、内容とそれにまつわる感情とがあります。 感情と思考は拮抗する心理機能です。 感情は基本的には快・不快にもとづく判断機能です。 一方、思考は、論理の整合性にもとづく判断機能です。 感情型の人と思考型の人の論争は、話し合いが決裂して結論が 出ないことが多いのはこのためです。 男女のもめごとや親子の言い争いに、この対立が多く見られます。 <感情型の女性と思考型の男性の会話> 男性1 「これは○○だから、このようにしないとしかたがないじゃないか」 女性1 「わたしはこうなるのがいやなのよ」 男性2 「しかし、そのようなことを言っても、 ××は△△とは違うから、○○のようになるじゃないか」 女性2 「そんなことを言っているのではないのよ。 こうするのがいやなのよ。何度言ったらわかってくれるの」 男性3 「そちらこそ、僕がこれだけ説明しても訳のわからないことばかり 言っているのではないか」 女性3 「もういいわよ。どうせ私が悪いのでしょ」 男性4 「そんなことを言っているのではないだろう。 君が、そんなふうなら話にならないじゃないか」 女性4 「どうせ私は頭が悪いのよ」 男性5 「勝手にしろ」 (感情が出てきました。次の会話は論理的な説明をしていません) (感情を受け止める会話になっています) 男性2 「そうか。いやなのか」 女性2 「理屈はわかっているのよ。でも、私はそのようにしたくないのよ」 男性3 「そうなんだね。したくないのだよね。 うーん、現実を考えると君の思うようにするのは難しいと思うよ」 女性3 「難しくなんかないのよ。しなければすむだけよ」 男性4 「そうだね。しなければいいのだよね」 女性4 「そうでしょう。××さんは怒るだろうけれど、無理にするよりいいのよ。 二人で損をかぶればすむことよ」 男性5 「そうだね」 相手の感情を受け入れることによって、二人とも成長することはよくあります。 人間は頭で理解していても、感情が拒否するような行動はとることができないのです。 一方、論理的・試行的になると感情が無視されてしまい、論理でものごとを押し進めようとします。 ではどうすれば、 論理と感情の会話が実りのあるものになるでしょうか。 それは、相手が感情を出したときは、こちらは説明をやめ、相手の感情を受け止めていくのです。 「揺るがず、逃げず、小さなことにこだわらず」 <バックナンバー> 【01】「沈黙で売る」 【02】「素直に聞く」 【03】「話し上手は聞き上手」 【04】「真剣に聞く」 【05】「相づちを打つ(その1) 【06】「相づちを打つ(その2) 【07】「相づちにも種類がある」 【08】「くり返す(相づちの高等技術)」 【09】「相づちはタイミング(上手に聞く)」 【10】「聞いた話は忘れる」 【11】「ぐちを聞く」 【12】「ぐちを聞くには極意がある」 【13】「自分のことは話さない」 【14】「相手の心を映す鏡になる」 【15】「他人のことはできない」 【16】「聞かれたことしか話さない」 【17】「答えられない質問には答えない」 【18】「じっくり相手の話を聞く」 【19】「相手の話に興味をもつ」 【20】「素直に聞く」 【21】「上下関係なしに聞く」 【22】「少しだけでも聞く」 【23】「誠実で寡黙であること」 【24】「嘘はつかない、飾らない(オープンということ)」 【25】「相手の話は相手のこと」 【26】「積極的に聞く」 【27】「相手が感じているように聞く」 【28】「話し手のリズムに乗るように聞く」 【29】「言い訳はしない」
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