2005年6月13日(月) <第1164号>
「沈黙は金なり」(『聴く』)(第22回)
− 相手の話をじっくり聴くとコミュニケーションが円滑になる −
【22】少しだけでも聞く
聞き手には聞き手の会話のパターンがあります。会話にはAパターンとBパターンがあります。
Aさんが話し手でBさんが聞き手のときは、Aさん主導の会話がAパターンの会話です。
Bさんが話し手でAさんが聞き手のときは、Bさん主導の会話がBパターンの会話です。
Aさんが上司(群れの順位が上)でBさんが部下(群れの順位が下)のとき、
Aパターンの会話(上司主導の会話)です。
A(1)
「×××」と話をしています。
B(1)
「そうですね」とA(1)の話を受けます。
A(2)
「×××」と話を進めています。
B(2)
「はい。そうですよね」とA(2)の話を受けます。
A(3)
「×××」と話をさらに進めています。
B(3)
「はい。そうですよね」とそしてA(3)の話を受けます。
以下、A主導で話が進みます。
Bパターンの会話(部下主導の会話)
− 相手主導の会話 −
B(1)
「×××」と話をしています。
A(1)
「そうだね」とB(1)の話を受けます。
B(2)
「×××」と話を進めています。
A(2)
「うん。そうだよね」B(2)の話を受けます。
B(3)
「×××」と話をさらに進めています。
A(3)
「うん。そうだろうね」とそしてB(3)の話を受けます。
以下、B主導で話が進みます。
上司、教師、母親が部下、生徒、子どもと話をすると、
ほとんどの会話がAパターンの会話(上位者主導の会話)になってしまいます。
Bパターンを応用して、部下と会話する上司は上手に話を引き出し、
悩みごとの相談にのったりするのです。
悩みごとの相談にのったりする上司Aさんと悩みを抱える部下Bさんの会話です。
B(1)
「ちょっとお時間ありますか」
A(1)
「うん」
B(2)
「話をしてもいいですか」
A(2)
「いいよ」
B(3)
「このごろ、やらねばならない仕事があるのに、なかなか取りかかれないのです。
まわりからもいろいろ言われるし、自分でもわかっているですかれど、
思うようにいかないのです」
A(3)
「思っていても、なかなか取りかかれないことってあるよね」
B(4)
「そうなんです。自分では、これではいけない、いけないと思っているのですが。」
A(4)
「そう思うと、よけいあせってしまうしね」
B(5)
「そうなんです。結局テレビを見てしまったり、つい酒を飲んでしまったりで」
A(5)
「そうなってしまうんだよね」
B(6)
「あとから後悔ばかりなんです」
A(6)
「そうなるよね」
B(7)
「今日も大事なレポートを提出しなければならないのですが、いまだに取りかかれなくて、
先ほども主任から催促されました」
A(7)
(あせるね)
「そりやそうだよね」
B(8)
「自分は能力がないのでしょうか?」
A(8)
「自信をなくするよね」
B(9)
「自分ではやれる思うのですが・・・。でも、実績がこれでは評価されません」
A(9)
「そりゃそうだよね。能力より低く評価されるよね」
B(10)
「それでまた落ち込むのです」
A(10)
「自分のなかで悪循環になるよね」
B(11)
「そうなんです。・・・でも、やるしかないか!」
A(11)
「そうだよね」
B(12)
「ありがとうございました。少し落ち着きました。また話を聞いてください」
A(12)
「いいよ。では、またね」
上司が部下の話を少しだけでも聞いてあげると元気になれる人は案外多いのです。
上の立場の人が聞き手になれば、その効果は抜群です。
<バックナンバー>
【01】「沈黙で売る」
【02】「素直に聞く」
【03】「話し上手は聞き上手」
【04】「真剣に聞く」
【05】「相づちを打つ(その1)
【06】「相づちを打つ(その2)
【07】「相づちにも種類がある」
【08】「くり返す(相づちの高等技術)」
【09】「相づちはタイミング(上手に聞く)」
【10】「聞いた話は忘れる」
【11】「ぐちを聞く」
【12】「ぐちを聞くには極意がある」
【13】「自分のことは話さない」
【14】「相手の心を映す鏡になる」
【15】「他人のことはできない」
【16】「聞かれたことしか話さない」
【17】「答えられない質問には答えない」
【18】「じっくり相手の話を聞く」
【19】「相手の話に興味をもつ」
【20】「素直に聞く」
【21】「上下関係なしに聞く」
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