2005年5月26日(木) <第1146号>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
- 【131】派遣社員の最低賃金の見直し -
………………………………………………………………………………………
厚生労働省は、来年の通常国会での改正を目指し、労働者に支払う賃金の下限を定めた最低賃金制度を抜本的に見直す方針でいます。
現行の最低賃金制度は、
○都道府県内の全労働者に適用される地域別最低賃金
○地域別よりも賃金水準が上で特定産業の労働者のみに適用される産業別最低賃金
の二本立てで運用されています。
経済界は産業別最低賃金を廃止するよう求めていますが、反面、労働者側は現状維持を求めているため、調整は難航が予想されます。
<派遣社員の最低賃金>
派遣社員は派遣元と雇用契約を結び、派遣先の指揮・命令下で働いているという複雑な雇用形態のため、労働条件において問題が発生しやすい状態にあります。
最低賃金制度において現在では、派遣元の会社を基準に最低賃金が決定されていますが、この場合にあてはめると、都道府県をまたいで派遣されると、その会社に直接雇用されている社員等との格差が生じてしまい、同じ職場のアルバイトより最低賃金が低くなるという弊害が実際に発生していました。
そこで、派遣先の会社の地域・業種に合わせて最低賃金を決定する仕組みに改めることが検討されています。
<派遣社員の労働・社会保険>
労働者派遣法により、派遣元は派遣労働者の労働・社会保険の加入の有無を、派遣先に通知することが義務づけられています。
また、労働・社会保険に加入する必要がある派遣労働者については、各保険に加入させてから労働者派遣を行う必要があり、派遣先は保険に加入されている派遣労働者を受け入れる必要があります。
<派遣社員の労働保険>
労災保険は派遣元で加入するのが原則で、実際に事故が起こった場合には派遣元の労災保険から保険給付を受けることになります。
ただし、派遣先の機械等が原因で起こった事故についての危険防止義務違反や、安全衛生法上の私傷病報告の提出等は、派遣先の会社が負うことになります。
<派遣社員の社会保険>
原則として2カ月以上働く場合(1カ月の労働日数と労働時間が一般社員の3/4以上であることが要件)には、派遣社員であっても社会保険に加入することができます。
雇用契約の期間が2カ月以上の場合は、当初から社会保険に加入することになり、契約期間が2カ月以内であっても、期間が延長された場合には、延長された日より加入することになります。
<バックナンバー>
【130】労働保険の強制加入の強化
【131】日本の労務管理の父
|
← Prev News Index Next→
|