2005年4月3日(日) <第1093号> <バックナンバー> ○ 井上 充さん 【 61】タクシー運転手と請負 【 62】タクシー運転手という仕事 【 63】雇用情勢 【 64】高齢者雇用の取組み 【 65】NEET(ニート) 【 66】技能系社員登用制度 【 67】個人業務委託 【 68】労働形態の多様化 【 69】雇用対策の転換 【 70】採用の良否 【 71】派遣労働者の現状 【 72】新卒者内定状況 【 73】ICという働き方 【 74】某社人事担当者の悩み 【 75】営業マンの休憩時間 【 76】オーケストラの年収 【 77】労働時間延長に動く独企業 【 78】就業促進手当 【 79】第三者行為労災について 【 80】プライバシーマーク 【 81】改正労働基準法 【 82】過労自殺 【 83】私的メールのモニタリング 【 84】ビジネスマンが重視するものは 【 85】社員の起こした交通事故について 【 86】基本4情報の漏洩 【 87】聖域を外部委託した生保 【 88】医療機関の個人情報保護 【 89】生命保険の手数料 【 90】プライバシーマーク・認定申請増える 【 91】カンタン個人情報保護対策 【 92】求職活動支援書 【 93】改正代金法 【 94】成績不良と解雇 【 95】市場化テスト 【 96】セクハラ相談 【 97】給与計算の変更点 【 98】ADRって何? 【 99】悪用される全喪届 【100】信用と取引信用保険 【101】保険料の節約法 【102】労働福祉事業と雇用保険三事業 【103】年金暮らしと税金 【104】年俸制について 【105】65歳までの雇用確保が義務付けられます 【106】労働組合法が改正 【107】育児・介護休業法が改正 【108】会社を退職した方が創業する場合の助成金 【109】ストックオプションの利益は給与所得 【110】人事考課 【111】成果型賃金制度導入の難しさ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 【112】賃金体系の変遷 - ……………………………………………………………………………………… 戦後日本の賃金体系は、年功制から職能資格制度、そして成果主義制度へと変容してきました。 年功制とは、年齢や勤続年数の増加とともに賃金が増加する制度です。1946年に日本電気産業労働組合が獲得した電産型賃金体系がその代表であり、給与の大部分を仕事の能力とは関係のない生活保障給と勤続給が占めていました。 職能資格制度とは、職務を遂行する能力を基準に賃金を決める制度です。新入社員から部課長までどのような職務遂行能力が求められているかという職務資格基準を段階的に定義していくものです。この職務資格基準が定める社内資格に基づく賃金が職能給です。 バブル崩壊期までは会社も労働者も結果の平等をより尊重したため、職能資格制度も年功的に運用されました。その結果、職能資格制度は実態としてはほとんど機能しませんでした。職能資格基準が年功の代理指標となり、職能給といってもその実態は年功型賃金と変わりませんでした。 第二次世界大戦の敗戦からバブル崩壊までの実に半世紀以上もの間、日本の会社と労働者は年功的賃金制度に慣れ親しんできたのです。日本の文化的背景や社内慣行や制度を考慮すると、完璧な成果型賃金制度がいきなり機能すると考えること自体に無理があるのではないでしょうか。 成果型賃金制度でも、試行錯誤と一進一退を許容すべきで、昨今の成果主義賃金バッシングは明らかに行き過ぎのように思われます。 また、定期昇給は、この年功的に運用された職能資格制度で作成される賃金表(賃金表とは、横軸に級が、縦軸に号俸がある号俸表)において実施されるもので、人事考課があるため上がり方に各自違いはありますが、勤続年数・年齢が上がれば自動的に賃金も上がることになります。 職能資格制度を維持している限り、世界的に突出した日本のサラリーマンの賃金を抑制することはできないのです。 予想可能な賃金上昇を伴う安定雇用が可能であった時代が終りを告げた今、定期昇給制度の廃止・縮小が経営課題となっているのは確かでしょう。
← Prev News Index Next→
Copyright 2001-2002 OptWorks Inc. All rights reserved. Contact Us