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DRIVEN NEWS BACKNUMBER

2005年3月2日(水) <第1061号>

<バックナンバー>
○ 井上 充さん
【61】タクシー運転手と請負
【62】タクシー運転手という仕事
【63】雇用情勢
【64】高齢者雇用の取組み
【65】NEET(ニート)
【66】技能系社員登用制度
【67】個人業務委託
【68】労働形態の多様化
【69】雇用対策の転換
【70】採用の良否
【71】派遣労働者の現状
【72】新卒者内定状況
【73】ICという働き方
【74】某社人事担当者の悩み
【75】営業マンの休憩時間
【76】オーケストラの年収
【77】労働時間延長に動く独企業
【78】就業促進手当
【79】第三者行為労災について
【80】プライバシーマーク
【81】改正労働基準法
【82】過労自殺
【83】私的メールのモニタリング
【84】ビジネスマンが重視するものは
【85】社員の起こした交通事故について
【86】基本4情報の漏洩
【87】聖域を外部委託した生保
【88】医療機関の個人情報保護
【89】生命保険の手数料
【90】プライバシーマーク・認定申請増える
【91】カンタン個人情報保護対策
【92】求職活動支援書
【93】改正代金法

     ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                       - 【94】成績不良と解雇 -
     ………………………………………………………………………………………
 2004年の1月に労働基準法が改正され、就業規則に解雇の具体的な事由を記載することが義務づけられましたが、あいかわらず解雇を巡るトラブルは後を絶ちません。

 昨年の解雇に関する改正点は、次のとおりです。

 ○ 就業規則への解雇事由の記載の義務付け
 ○ 労働契約時における解雇の事由の明示
 ○ 解雇時における解雇理由の明示

 上記の点について現行の就業規則が要件を満たしていない場合は、これを適切に改定し、労働基準監督署に届け出る必要があります。なお、懲戒解雇事由だけでなく、普通解雇事由についても具体的に列挙されていることが必要です。

 勤務成績不良が解雇事由として認められるには営業成績等が悪いなど、成果・業績主義のもと勤務成績不良による解雇も増えてきています。

 労働者に問題がある場合には、遅刻・欠勤が多い、作業ミスが多い、作業能率が悪い、作業速度が遅い、営業成績が悪い、上位の命令に従わないなど、その内容は多様であり、解雇を行う場合には、通常、複数の事実が主張されます。

 しかし、裁判で争われる場合においては、主張された事由の存否を一つひとつ確認し、その中に解雇の有効性を決定的に根拠づけるものがあれば、それにより解雇を有効と判断し、他方、決定的な事由がない場合には、全体を総合評価して解雇の有効性を判断されることとなります。

 就業規則で勤務成績不良が解雇事由として記載されている場合であっても、裁判所がその労働者を勤務成績不良と認めるかどうかは、以下の3点について判断されます。

 ○ 使用者は、成績不良があってもまず指揮命令権を行使して、
    これが是正されるように指導しなければならない
 ○ 改善が期待できない状態でなければ解雇できない
 ○ 成績不良がその労働者を企業から排除しなければ
    秩序維持ができなくなる程度でなければ解雇できない

 この改正により解雇のハードルは高くなり、解雇することが難しくなったと感じている経営者の方も多いでしょう。しかし、社員にとっては、解雇されれば生活の基盤を失うことになるため、慎重に取り組む必要があるのです。

 いざ、裁判所での争いとなれば、何よりも証拠が重要となります。勤務成績不良と考えられるとしても、上記の3点において裁判所に提示できるだけの証拠が求められますので、勤務成績不良の社員に対し、会社として、成績向上のための指導や解雇を回避する為の努力をしたという記録をしっかりと残しておくことがポイントとなります。

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