2003年9月25日(木) <第659号>
■「奈穂の税務相談」■
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- 【8】資金管理の基本 -
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○企業の成長段階における資金不足の発生要因
企業における資金需要は、質・量ともその成長段階に応じて大きく異なります。特に、誕生期から発育期(第1成長期)においては、企業としての信用力は低く、金融機関からの調達は容易ではありません。仮に融資を受けるにも、経営者個人の担保が頼りというケースがほとんどです。
<資金不足発生の主な要因>
●在庫資金の増大
売上げの急拡大により製品の品種が増加します。また、受注対応が最優先であるため、材料、仕掛品、製品といった在庫投資が急増します。
●設備投資による資金の固定化
生産力増強のため、設備投資が先行し、資金の固定化が進みます。
●売上債権の増加
回収管理の甘さから、売上債権の回収遅れと滞留債権、不良債権が発生し、当面の資金繰りを圧迫します。
○資金不足対策の基本方向
資金不足対策の基本姿勢は、支払サイトの延長など安易な企業間信用への依存や銀行借り入れに頼るのではなく、不足の原因を押さえた的確な処置と地道な財務体質強化策を推進することです。
○改善対策のポイント
資金対策は流動資金と固定資金に区分して行います。
●運転資金の効率化
運転資金(売上債権+棚卸資産−仕入債務)の増加率を、売上増加率以下のバランスに抑えます。…≫運転資金増加率<売上増加率
<運転資金効率化のポイント>
・回収サイトと支払いサイトのバランス化
支払いサイトに比し、回収サイトが長い場合の問題の得意先に対する、回収条件の改善を進めます。
・売掛金回収管理の強化
締切日別、担当得意先別回収管理の徹底による回収促進と長期売掛金の撲滅。並びに現金回収率の向上を図ります。
・在庫資金の削減
適正在庫基準の設定により、在庫回転率の向上と不良在庫の防止に努めます。そのためには、誕生期から発育期の初期段階では、できるだけ製品の品種は抑え気味とし、製品のライフサイクルのチェックを厳しく行うことが肝要です。
●設備資金の適正化
資本力が乏しい段階での設備投資は、借入金またはリースに依存せざるを得ません。将来の売上動向や資金繰りを考え、無駄な投資は絶対にやめ、必要不可欠なものに絞ります。
同時に、借入金かリースかの選択を慎重に検討します。借入金による場合は、将来の返済原資となる「キャッシュフロー」の予測を踏まえて返済条件を考慮します。
●資金繰り表の活用
資金繰りを安定かつ健全なものにするには、資金についても今までの成り行きドンブリ勘定から脱却し、経営計画に基づく資金計画を作成し、月別予実績コントロールを導入することが基本です。
資金繰り表の基本パターンは、経常収支、設備収支、財務関係収支の3部制による資金繰り表が最も理解しやすく、それぞれの段階での資金過不足を計算すれば、資金不足の発生と対応状況が分かり、かつ資金不足の原因もほぼ押さえられます。(正確には資金運用表が必要)。
今日、企業をとりまく財務環境の変化は目覚しい。特に中堅企業の財務戦略上の課題は大きいですが、資金繰りがショートすれば、一瞬にして信用は失墜し、黒字会社といえども倒産します。
故に、成長軌道にある企業は、資金管理の基本をなによりも優先的に確立することが最重要課題であると思います。
●「ナイス・ビジネス・パートナー」(NBP)
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