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2002年10月14日(月) <第313号>

■ウォーミングアップコーチ
ご父兄の方、中学生のお子さんに対して、塾(受験勉強)や部活(大会出場)の合間に、「ウォーミングアップコーチング」をお薦めします。

○親子の絆
映画『ロード・トゥ・パーディション』< http://www.foxjapan.com/movies/roadtoperdition/ >

私を含めて自分の子ども、特に息子に自分の思いを上手く伝えられない父親は沢山います。突然、「お父さんの仕事はなに」と息子に聞かれて、答えられません。

世間は"親子の断絶"といいますが、父親は(母親と違って、ことばではなく)、自分の生き様や背中で息子に大切なものを伝えようとします。

剳ヰeの仕事は何だろう…≫あなたは答えられますか
舞台は1931年、米国イリノイ州ロックアイランドの町です。父マイク・サリヴァン(トム・ハンクス)と12歳になる長男マイケル・サリヴァン・ジュニアの6週間の父と息子の愛情の物語です。

(1931年は世界大恐慌の暗い影がアメリカ社会を覆い、重苦しい雰囲気が漂っていたのだろう。『ロード・トゥ・パーディション』の撮影監督コンラッド・L・ホールは、この時代のアメリカの空気を、雨の中の銃撃シーン、シカゴの光と影<華やかさと絶望の影>、場末のキャバレーなどの映像を通して、見事なまでに再現しています。)

--->>>マイケルは父がどんな仕事をしているのかどうしても知りたかったのです。

ある雨の夜、マイケルは仕事に出かけるマイクのクルマに忍び込みました。到着した倉庫でマイケルが見たのはマイクが殺人を犯すところです。マイクは、貧しいときから世話になっているギャングのボスであるジョン・ルーニー(ポール・ニューマン)配下の殺し屋だったのです。ルーニーの息子コナーが自らの悪事を隠した事件に巻き込まれたサリヴァン父子の絆は皮肉にもこの場面から始まっていきます。

コナーは、事件の真相をを隠蔽するためマイクやその家族を襲い、マイクは妻とマイケルの弟を殺されてしまいます。マイクは昔世話になったボスがいるシカゴに行きますが、逆に殺し屋(ジュード・ロウ)の手が回ってしまいます。マイクは、息子マイケルを守るために伯母が住むパーディションという美しい湖のほとりにある町を目指します。

途中、マイクは殺し屋(写真家)に撃たれ、駆け込んだ老夫婦の家で負傷の傷を癒しました。その老夫婦は、父マイクを看病するマイケルを見てこういいます。「息子は父親を愛している」と。

マイクは、殺し屋から逃れる一方、妻子の復讐を誓い、コナーを殺すためにマイケルにクルマの運転を教えます。ここから父と息子の間には「絆」が生まれていきます。

--->>>その父子の絆は、親子の愛からひとりの男に成長していく、息子との男の友情へ変わっていきます。

剞e子の関係って--->>あなたはどう答えますか
殺し屋という負い目があるので、マイクはマイケルとぎこちない関係しか作れないでいます(トム・ハンクスは見事に不器用さを演じています)。同様に、何人も人を殺してきたギャングのボスでありながら、不肖の息子のために罪をかばうルーニー。

マイクとルーニーは、実の親子以上にピアノの連奏のごとく、お互いを信頼し、愛情を持っています。そして、ふたりとも自分の息子を守るために・・・(破滅に向かうのか)

あらためて、かくも父親とはことばではなく行動で愛情を表現しようとするのかと思いました。

劇中、こんな会話があります。
マイケル:「パパは弟の方が可愛かった」
マイク:「お前は俺に似ている。でも似てほしくはなかった」

息子には自分と同じ"殺し屋"の道を歩んでほしくないと願う父親の行動が最期の場面に集約されています。伯母が住むパーディションの家で待ち構える殺し屋に撃たれたとき、息子マイケルが銃で殺し屋を撃とうとしますがそれを防いだのはマイクの一撃でした。

(このあと、トム・ハンクスは命が絶えます。このとき、劇場は深い親子の絆でこみ上げる感動や涙を押し堪える観客の息遣いに圧倒されます。『ロード・トゥ・パーディション』のテーマは「親子関係」です。トム・ハンクスやポール・ニューマンが演じる父親の揺れ動く心情を、見事にサム・メンデス監督は描きました。)

剪学生の子どもと面と向き合って話をするのは…≫あたなはいつ以来ですか
父親は、いざ口を開くと、そこまで妻にもしゃべったことがない、機械いじりや三角ベースに熱中した少年時代を子どもに話します。

父親は「話してやれることがあるはず」と思いつくまで多くの時間を費やします。それは子どもの学校生活や友人関係、将来の進路など気になることは一杯あるが、どれもこれも妻を通じて情報を仕入れています。

「親の背中を見て、子は育つ」とは家庭に精神的ゆとりがあった時代の話であり、いまは父親から会話の時間を割いていかないと、子どもたちの方からどんどん離れていきます。いまの時代、企業戦士では親子には絆は生まれません。

(男の心情を"沈黙"という演技をしたトム・ハンクスや"愚かさ"を見事に演じたポール・ニューマンが評価されたのは古きよき時代で、無気味な雰囲気を漂わせるジュード・ロウに現在の若者にある軽薄な人間関係を垣間見るのは私だけでしょうか。)

私はRoad to perdition(破滅)ではなく、Road to bonds(絆)として『ロード・トゥ・パーディション』を同世代の親子にお薦めします。

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