2002年10月7日(月) <第306号>
■中小製造業の戦略的思考・・3
「市場における競争について」
企業が行ってはいけない競争(中)
2,規模の拡大競争
トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、三菱、ダイハツ、スズキ、スバル(富士重工)我が国の乗用車を生産しているメーカーである。ある時期まで全ての会社は一流会社、しかし現在はそうでもない。スケールメリットという言葉は、この自動車業界のためにあったような物である。従って此の業界では、規模の拡大競争は不可欠である、と考えられていた。
事実、長い間、スケールメリットを求め、各社は懸命に販売台数を競い、生産力を競った。企業は自分の体力を越えた展開を行うか、戦略に大きな失敗があったとき、急速に力を無くし体力を消耗し滅亡の道をたどる。
豊かな財務内容を基に全てのクラスの車種を用意し、販売チャンネルを増加し、シェアー拡大を狙い大きく動き出したトヨタ。負けじと追撃態勢で追いかけた、マツダ、日産、三菱、参戦した企業は見事に惨敗。ホンダも見事な敗戦。
しかしホンダは途中で戦略転換。ホンダの原点に立ち戻り、規模拡大競争、品揃え競争から撤退。そしてオデッセイでホームラン。見事な選択と集中、そして技術とデザインで戦線ドメインを変更。
スズキは始めから規模の拡大、品揃え、競争には参加せず、軽自動車専門、これも又見事な選択と集中といえる。軽自動車を中心に性能とデザインの向上、販売キャッチフレーズの妙、とにかく独自路線で我が道を行く。生産の合理化、徹底したコストダウン(売値ではない)これは他社を圧倒する者であった。
トヨタのたった10%のスケールで、大きなコンペチターを迎え撃ち、堂々と利益を実現、まさに戦う企業のお手本と言える。
この間トヨタは、規模の拡大競争を他社に仕掛けたように見せ、内情は懸命な技術開発であった。他社に先駆けてのハイブリットカーの実現。超高級車、低燃費の小型車、全て新技術開発無くしては、実現しなかった結果を見せつけることになった。
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