2011年10月4日（火） <第3017号>


　　　　　　　　　　　　　　　−　Ａとのコミュニケーションをデザインする　− 　　

美しい日本語は、あいさつ語が大部分である。あいさつ語とは、「声をかける」ことばである。
「ありがとう さよなら はい おはようございます わたくし さわやか あなた おやすみなさい　
すいません どうぞ いいえ いらっしゃいませ おかあさん ほのぼの ごめんなさい
しぐれ たそがれ はは いただきます いってらっしゃい うららか こんにちは ふるさと・・・・・・」。　
これによって、相手との距離がぐっと縮まる。この声の接触行動が自己表現の道を開く。

73.コミュニケーションをぶち壊そうとしているＡ女医
2ヶ月に一度、糖尿病のために通院していた大学病院の外来。

患者(1)
「肺活量を高めるため、歌をうたいながら土手の上を歩いています」
Ａ女医(1)
「あら。ご近所の方は迷惑ね」

患者(2)
「毎日、3キロほど泳いでいます。クロールは握りこぶしで水をかき、バタフライはビート板を足に挟んで、手のかき方も練習しています」
Ａ女医(2)
「あら。ちょっとやりすぎね。そんなに強迫観念にかられてがんばっていると、あるとき、突然、何もかもいやになって全部投げ出すようになるのよ。食事療法もみんなほっぽって、しまいには、頭がおかしくなるの。私は親も親戚も糖尿病だから、まもなく、あなた方の仲間入りをするわ」

患者は、すっかり通院意欲をなくして、治療も食事療法もやめてしまった。糖尿病は、生活指導が大切だ。患者にやる気をなくさせる生活指導なんて、困ったものだ。

患者(1)
「肺活量を高めるため、歌をうたいながら土手の上を歩いています」
Ｂ医師(1)
「歩くことはいいことですね(と評価している)。大きな声で歌えば、胸郭の筋肉が強くなって、肺活量が多くなる、いいことですよ(と共感している)」

患者(2)
「毎日、3キロほど泳いでいます。クロールは握りこぶしで水をかき、バタフライはビート板を足に挟んで、手のかき方も練習しています」
Ａ医師(2)
「すばらしいですね。えらいですね」

この言葉でコミュニケーションが繋がっていく。

　　　　　−　明日（１０／５)は『74.なんとも中途半端な、問診をしない医師』を掲載します　−


＜バックナンバー＞
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01.事例
02.コンビニの店員の心をつかむ？
03.レストランで接客している女性
04.職場で具合の悪そうな部下を見つけた上司
05.「わかりません」と答える研修医Ａ
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09.外科医と患者
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