2010年1月18日(月) <第2397号> − Aとのコミュニケーションをデザインする − 美しい日本語は、あいさつ語が大部分である。あいさつ語とは、「声をかける」ことばである。 「ありがとう さよなら はい おはようございます わたくし さわやか あなた おやすみなさい すいません どうぞ いいえ いらっしゃいませ おかあさん ほのぼの ごめんなさい しぐれ たそがれ はは いただきます いってらっしゃい うららか こんにちは ふるさと・・・・・・」。 これによって、相手との距離がぐっと縮まる。この声の接触行動が自己表現の道を開く。 28.離婚した母と子 チリ紙交換車が、スピーカーからご町内の皆さまに呼びかけている。 子どもがその口調を真似て言った。 太郎(1) 「ご町内の皆さま、毎度おさわがせして「おります。 まさかとお思いでしょうが、こちら夫婦交換車です。 ご家庭でご不要になりましたダンナサマ、オクサマは、高級化粧紙、トイレットペーパー とお取り替えします。 お気軽にお声をお掛けくだされば、こちらから取りにまいります」 母親(1) 「怖い車だねえ。子ども交換車ってないかな」 太郎(2) 「ねえ、お母さん。人間にはどうして姓名の姓があるんだろう?」 母親(2) 「どうしてって、秋山さんなら秋山さんの一家だってことがわかるように、じゃないかしら」 太郎(3) 「家族だよね」 母親(3) 「うん」 太郎(4) 「家族って血のつながりで出来てるんだよね」 母親(4) 「だと思うけど」 太郎(5) 「お父さんやお母さんが僕を愛するのは、血がつながっているからなの」 母親(5) 「・・・・・・そうねえ・・・・・・血がつながっていない子というのを持ったことがないから ・・・・・・よくわからないわ・・・・・・」 太郎(6) 「僕もよくわからなくなってきたけど、僕の言いたいのはさ、今、お父さんとお母さんは、 家族って形はやめちゃったけど、お互いのことを思っているよね」 母親(6) 「うん」 太郎(7) 「それで、別の人と再婚して子どもが出来ると、その子のことも思うよね」 母親(7) 「うん」 太郎(8) 「その子も僕もかわいがるとすると、姓なんかいらないじゃないかと思うんだ。 一人一人、名前だけでいいんじゃないかと思うんだ。 一人一人が思い合ってつながっていれば、いいじゃないかと・・・・・・」 母親(8) 「・・・・・・」 その後会話は途切れてしまった。母親は無理に話を続けるために言葉を捜したり、 考えを進めようとすると、子どもが考えていることの破片のキラメキが消えてしまいそうな、 そんな感じがして、母親は黙っていた。 − 明日(1/19)は『29.早口の女子大生』を掲載します − <バックナンバー> 00.子どもの心をつかむ 01.事例 02.コンビニの店員の心をつかむ? 03.レストランで接客している女性 04.職場で具合の悪そうな部下を見つけた上司 05.「わかりません」と答える研修医A 06.不定愁訴(”愚痴外来”) 07.聴き遂げる 08.真摯に耳を傾ける 09.外科医と患者 10.年配の男性のお客 11.魚売り場の店員 12.不安はあるが暗くはない家族 13.ぐっと言葉を呑み込んだ上役 14.会議室から急ぎ退室する上司 15.感動した新人の頃 16.設計 Vs. 営業 17.やってられない、部下 18.気配りのよい人 19.”おとな”の夫 20.仕事で納得いかない後輩 21.話の流れを作る人 22.上司のよく使う表面的なコトバの裏のホンネ 23.大工の棟梁 24.女子社員用「社員用語集」 25.「報告」する警察官 26.普通の母親と良い母親 27.教師に対して、腹を立てている中学生 27.教師に対して、腹を立てている中学生(続き)
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