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2009年3月12日(木) <第2087号> 
 
                      リーダー 3/8の条件  
 
       − 8分の3の『強み』がなければ、魅力を感じさせるリーダーになれない −  
 
V.「プロダクティビティ・マネジメント」 
 
生産性(プロダクティビティ)とは、インプットしたもの(たとえば材料費、人件費、設備等)に対してどのくらいアウトプット(製品、サービス等)があったのか、ということを測るための指標です。 
 
08.(2)部下の業績評価のための5つのステップ  
ステップ3 
<インフォーマルな業績評価> 
業績評価は、年に1,2回の正式なものばかりではありません。 
部下は定期的に自分の業績評価をフィードバックしてほしいものです。 
次に、インフォーマルな業績評価の例を1つ挙げてみましょう。 
 
Aさんは自動販売機修理会社の上司です。 
部下のBさんは新入社員の技術者です。 
上司であるAさんの役割は、指示命令をする役割ではなく、コーチとしての役割を担うことです。 
ここでの業績評価は、生産性を向上するために部下の能力を進歩させるために行われ、かつ部下のモチベーションを高めるような題材を扱うことが大切になります。 
 
具体的には次のような5つのステップを踏んでいきます。 
ステップ@ 過去の業績のフィードバック 
ステップA 業績の現状把握 
ステップB 望ましい業績について伝える 
ステップC コミットメントを手に入れる 
ステップD フォローアップ 
 
ステップ@ 過去の業績のフィードバック 
Bさんは以前どのような作業をすればよいのかをティーチングされていますが、その教わったことを正しく行うことができなくなっています。Bさんは今まで自分の仕事に対するフィードバックを1度も受けたことがありません。 
 
Aさん 
「昨日、君に電話したんだよ。君の作業記録について話したいことがあったので」 
Bさん 
「何についてですか?」 
 
Aさん 
「君がうちの会社に入社して以来、1 度も君の仕事ぶりについて話し合ったことがなかったよね。君の作業記録を読んでいて、ひとつ急を要する改善点に気づいたんだよ」 
 
ステップA 業績の現状把握 
Aさん 
「君の作業記録を見ていると、君はX マーケット、Y 銀行、Z 工務店の自動販売機を修理しているね。でも3カ所すべてを1カ月以内にもう1度修理しに戻っているでしょう?」 
Bさん 
「はい。でも、それらの自動販売機は問題が多い機種なんですよ」 
 
Aさん 
「問題が多いのは分かってるよ。でも、君はその自動販売機の修理期間の平均が3カ月だというのを知っていた?」 
Bさん 
「はい。研修のときに聞きました」 
 
Aさん 
「私は、なぜ君が平均修理期間よりも短い周期で修理に行かなければならなかったのかを知りたいんだよ。私の想像では、君は故障箇所だけを修理して、それ以外の箇所を点検してないでしょう?」 
Bさん 
「そうです。私の仕事は自動販売機の修理ですから」 
 
ステップB 望ましい業績について伝える 
ここでは、なぜ改善しなければならないのか、その重要性を伝えます。 
もし改善するためにスキルが必要なら、ティーチングも必要になります。 
 
Aさん 
「研修プログラムで、日常修理作業では、自動販売機の全体も点検するように教わった? それとも修理箇所の修理だけするように?」 
Bさん 
「どちらだったか、覚えていません」 
 
Aさん 
「君自身はどっちのほうが望ましいと思う?」 
Bさん 
「そうですね。修理作業だけだと同じ自動販売機を1 カ月以内にもう1度修理をしなくてはならなかったので、全体の点検作業もいっしょに行ったほうがよいと思います」 
 
Aさん 
「そのとおり! これで君もどうしたら生産性が上がるか分かったね。今後、君には修理箇所を修理するだけでなく、全体の点検も併せて行ってほしいと思う」 
 
次のステップとして、できれば、部下から自分の仕事ぶりを変えるというコミットメント(約束、必須目標)を手に入れましょう。 
 
コミットメントは、部下が自分の仕事ぶりを変えようとする意志がない場合にはとても重要です。 
コミットメントがなければ部下は変わらないからです。 
 
Aさん 
「これからは、君は修理屋さんではなく、メインテナンス屋さんになってほしいなあ」 
Bさん 
「私は今までその必要性についてまったく気づいていませんでした。でもこれからはがんばります!」 
 
ステップD フォローアップ 
フォローアップは、上司が部下の仕事ぶりを真剣に考えていることを部下に認知させるために重要となります。 
 
Aさん 
「これからも、ずっと君の作業記録を見続けるからね。君はもう同じようなことはないと思うけど、もしまた気づいたら君に伝えるね」 
Bさん 
「それはないと思います」 
 
Aさん 
「素晴らしい! 君の協力には感謝するよ。この点が、君の仕事ぶりで唯一気になったところなんだ。ほかは素晴らしいよ」 
 
上の例では、Aさんの効果的な質問が部下の生産性を向上させるのに役立っています。 
Aさんのどのような質問の仕方あるいは姿勢が機能したのでしょうか? 
 
− 明日(3/13)は『09.(2)部下の業績評価のための5つのステップ ステップ4』を掲載します −  
 
 
<バックナンバー>  
V.「プロダクティビティ・マネジメント」 
00.生産性(プロダクティビティ)とは 
01.インプット(Input)に対するアウトプット(Output)の割合生産性 
02.生産性の測定法 
03.生産性を向上させる3つの方法 
04.リソースを活用した生産性の向上 
05.研修の生産性の向上 
06.部下の生産性向上のための業績評価 
07.(2)部下の業績評価のための5つのステップ1、2 
08.(2)部下の業績評価のための5つのステップ ステップ3
 
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