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2007年8月4日(土) <第1945号>

           コミュニケーション能力 - 相手を元気づけたいときの会話術 -

「頑張って」は、相手の話に共感し、相手の苦しみやつらさを理解しようとしていることが伝わりません。「この人、本当に話を聴いてくれたのかしら。通り一遍に頑張ってと言われたって」と心を閉じてしまいます。

「頑張って」という言葉には、「あとはあなたの好きにして。グッドラック」という突き放したニュアンスがあります。

「義理の母と同居しているんですが、介護に疲れてしまって。うちは有料の老人ホームには入れる余裕がないので、夜も主人と私が交代で母の隣に寝ていますが、ここ最近ぐっすり眠ったことなんてありません。近ごろは認知症も進んでしまって・・・。もう、どうしていいかわかりません」

Q.あなたなら、どのように励ましますか?


「そんなこと言わないで。もう少し頑張って」


「もう少しの辛抱よ。
あなただって歳をとれば誰かに面倒をみてもらうわけだから、お互いさまなのよ」


「それはさぞ、たいへんだったでしょう。よく辛抱なさいましたね」


「私も両親の世話のことですごく悩んだことがあったけど・・・(自分の経験談を話す)」

Aは単なる励まし。
「私はもうこれ以上はできない」
「もうやりたくない」
と相手が思っているときに、こんなふうに励まされても、励ました側は自分の思いを伝えたことで満足でしょうが、相手の気持ちを「聴いた」ことにはなりません。

Bは一般論です。
相手の気持ちに届くような励ましにはなりません。

Dは相手の話を自分の経験にすり替えています。
話を聴いてほしいのは、あなたではなく、話し手です。

Cは「ねぎらい」の姿勢を見せながら励ましています。
「それはつらかったでしょう。よく辛抱なさいましたね」
「いやー、よく頑張りましたね。たいへんでしたね」

このようなねぎらいの言葉ひとつで、これまでの自分の苦労が相手に理解されたことを知り、話し手も元気が出てきます。

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