2007年7月11日(水) <第1921号> ■労働・経営■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 【337】月80時間を超える残業に「50%以上」の割増率 - ……………………………………………………………………………………… ○労働基準法の改正案 厚生労働省は、長時間労働の削減を図るため、残業代割増率の引き上げについて、労働基準法改正案に「月80時間を超える残業に50%以上の割増率」という具体的な数値を盛り込みました。 改正案には残業代割増率引上げのほか、現在は原則として1日単位でしか取得することができない有給休暇を、年間5日分は1時間単位で取得できる新制度なども盛り込まれています。 改正案が成立すれば、生活環境に合わせ、「両親の介護のために5時間のみの有給休暇を取得する」ことなども可能になります。 ○明文化で拘束力 改正案では、残業台割増率の枠組みとして、以下のように3段階方式となっています。 1.1カ月の残業時間が45時間以下だった社員に対しては最低25% 2.45時間超80時間以下の場合はそれより高い率を設定する(努力義務) 3.80時間を超える場合は労使協議に関係なく50%以上 80時間以上の残業は、過労死などの危険性が高まるとされていますが、現行制度では残業時間に関係なく最低25%以上の割増賃金を企業に求めています。 厚生労働省は当初、3段階方式という枠組みだけ改正法に明記し、具体的な割増率は労働政策審議会(厚生労働大臣の諮問機関)で議論して政省令で定める予定でしたが、法に明記することで拘束力を強め、制度が簡単に変わることを避けたいと考えているようです。 ○当面は中小企業は適用除外 厚生労働省の調べによると、1カ月の残業時間が80時間を超えるのは、働く人全体のうち0.2%程度だそうです。割増率の引上げにより企業のコスト意識を高め、残業を減らす効果を期待しています。 しかし、企業側からは、「社員が残業代を増やすために、社員自ら残業を増やすケースが出てくる」との声もあがっており、かえって残業が増えるのではないかとの指摘もあります。 改正案は、雇用ルール改革の柱の1つです。一定の条件を満たす会社員を1日8時間の労働時間規制から除外する制度(日本版ホワイトカラー・エグゼンプション)は労働組合などの反発が強く見送られました。 残業代割増率引上げは、原則として当面は社員数301人以上、資本金3億円超の大企業が対象です。施行から3年後には中小企業も対象とするかどうかを改めて検討するそうです。 <バックナンバー> 【268】「マザーズハローワーク」の現状と課題 【269】晩婚・晩産化で女性の労働力が上昇 【270】成果主義賃金訴訟で社員逆転敗訴の判決 【271】外国人の従業員を雇う場合の注意点 【272】雇用保険 65歳以上でも新規加入が可能に 【273】コーポレートガバナンスを学ぶ 【274】賞与をめぐる状況 【275】2005年度の概算医療費が過去最高に 【276】雇用保険の基本手当日額が変更 【277】「地域別最低賃金」を2年連続引上げへ 【278】「労働審判制度」の利用状況 【279】横行する偽装請負と労働局による是正指導 【280】社員に対する資格取得援助費用の返還請求は可能か 【281】製造業や飲食業を中心に正社員が不足傾向 【282】仕事に関係のないウェブサイトの閲覧 【283】健康保険料率の上限が2008年度から引上げ 【284】企業におけるパワー・ハラスメント防止対策 【285】育児休業取得者増加への対応が重要に 【286】出産手当金の対象者・受給額の変更 【287】健康保険法改正でどうなる 【288】若年者をとりまく厳しい雇用環境 【289】民間給与が8年連続でダウン 【290】転職で失敗しないために必要なこと 【291】雇用保険料率が引き下げられます 【292】企業の子育て支援策と導入効果 【293】会社が指定した通勤経路の変更は認められるか 【294】「医療安全管理者」指針を作成へ 【295】被災時の医療費負担が減免・猶予されます 【296】平成18年度の年末調整について 【297】各業界における人材不足への懸念と対策 【298】話題の「ホワイトカラー・イグゼンプション」とは 【299】「高年齢者雇用確保措置」の実施状況 【300】「行政サービス・住民負担の地域格差」の実施状況 【301】企業による飲酒運転対策への取り組み 【302】会社に無断でアルバイトをしたら 【303】「年収130万円」の壁、働き方で変化 【304】給与は全額差し押さえられる 【305】医療制度改革に伴う患者の医療費負担引上げ 【306】新しい年金額通知サービス「ねんきん定期便」の概要 【307】定期健康診断の受診は個人の自由なのか 【308】「働く意欲」が強い50代 【309】「景気は拡大」は9割なのに… 【310】会社員の出張が増加しているのか 【311】欧州各国における子育て支援の現状 【312】患者に安心感を与えるクリティカルパス(診療計画表) 【313】日本・ベルギー間の社会保障協定締結 【314】診療報酬の「定額制」を導入へ 【315】派遣社員の事前面接が可能になる 【316】医療機関を悩ます消費税 【317】1年変形制における年休取得日 通常賃金の計算方法 【318】1年変形制における年休取得日 通常賃金の計算方法 【319】「毎月勤労統計調査」2006年分の結果は 【320】企業も派遣社員も知って得する「紹介予定派遣」制度 【321】増加する医療相談・苦情件数 【322】会社分割に伴って行われる転籍 【323】広がらない介護休業取得 【324】どうして訪問看護師が増えないのか 【325】見直される65歳以上の介護保険料 【326】介護休業はどのぐらい取得されているか 【327】口頭による採用内定に効力はあるか 【328】整理解雇の際に必要な「4要件」とは 【329】定年年齢を引上げるともらえる奨励金 【330】企業の育児支援策に対する助成金の拡充・新設 【331】4月から改正された公的年金制度のポイント 【332】出張先で飲酒中のケガは労災の対象になるか 【333】国民年金のカード払いが可能になる 【334】多くの確定拠出年金が運用放棄されている! 【335】パート労働者に健康保険も適用か 【336】営業車の駐車違反に関する会社の責任
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