2007年7月10日(火) <第1920号> ■労働・経営■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 【336】営業車の駐車違反に関する会社の責任 - ……………………………………………………………………………………… ○駐車料金の支給がない場合、反則金の支払い 社員が営業車でのセールス中に駐車違反で反則金をとられてしまいました。会社は経費節減と称して駐車料金を支給しないため、やむなく路上駐車していました。「反則金は自分で払え」と会社は主張していますが、会社が負担しなくてもよいのでしょうか? ○改正道路交通法による駐車違反取り締まり強化の柱 1.放置車両の取り締まり事務の民間委託を開始 2.車両の使用者責任を強化。放置違反金の納付命令を可能に 3.放置違反金を納付しなければ、滞納処分も可能に 4.放置違反金を納付しなければ、車検が受けられず 道路交通法改正により、2006年6月から駐車違反取り締まりの民間委託が始まり、同時に短時間の車両放置も摘発対象となりました。これにより、短時間駐車している営業車の違反が取り締まられるケースも増加しています。 ○会社負担の放置違反金 違反を摘発しても、運転者が出頭せず、車両である会社も「誰が運転していたかわからない」などと釈明する例が増えているようです。これでは「逃げ得」という不公平感を助長してしまいます。そこで、運転者が出頭しない場合、使用者に放置違反金の支払いを科すことになったのです。会社に科される放置違反金は反則金と同額です。会社が支払いを拒めば当該車両の車検が受けられなくなり、営業活動への影響も出てきます。 会社は、民法715条により、社員が不法行為をしないよう指導する義務と、不法行為があった場合に代わりに責任を負うこととされています。違反駐車の場合、本来は運転者に支払い義務がありますが、会社が駐車料金を支給しないような場合には、運転者の不法駐車を助長していたともいえそうです。 ○今回のケースでは 今回の例では、会社が反則金を負担し、その上で社員が違法駐車をしないよう駐車場を確保してあげることや、駐車料金を支給する仕組みを作ることも求められそうです。 ただ、会社は法令順守の徹底を訴えているのに、社員が駐車違反を繰り返しているような場合は事情が異なります。本人が違反金を支払わない場合や、注意をしても改善しない場合は、懲戒処分や減給処分を受けても、社員は対抗できない可能性があります。 <ポイント> 1.駐車違反で運転者が出頭しなければ、会社に支払い責任の可能性がある 2.会社には、社員が違反をしないルールづくりが求められる <バックナンバー> 【268】「マザーズハローワーク」の現状と課題 【269】晩婚・晩産化で女性の労働力が上昇 【270】成果主義賃金訴訟で社員逆転敗訴の判決 【271】外国人の従業員を雇う場合の注意点 【272】雇用保険 65歳以上でも新規加入が可能に 【273】コーポレートガバナンスを学ぶ 【274】賞与をめぐる状況 【275】2005年度の概算医療費が過去最高に 【276】雇用保険の基本手当日額が変更 【277】「地域別最低賃金」を2年連続引上げへ 【278】「労働審判制度」の利用状況 【279】横行する偽装請負と労働局による是正指導 【280】社員に対する資格取得援助費用の返還請求は可能か 【281】製造業や飲食業を中心に正社員が不足傾向 【282】仕事に関係のないウェブサイトの閲覧 【283】健康保険料率の上限が2008年度から引上げ 【284】企業におけるパワー・ハラスメント防止対策 【285】育児休業取得者増加への対応が重要に 【286】出産手当金の対象者・受給額の変更 【287】健康保険法改正でどうなる 【288】若年者をとりまく厳しい雇用環境 【289】民間給与が8年連続でダウン 【290】転職で失敗しないために必要なこと 【291】雇用保険料率が引き下げられます 【292】企業の子育て支援策と導入効果 【293】会社が指定した通勤経路の変更は認められるか 【294】「医療安全管理者」指針を作成へ 【295】被災時の医療費負担が減免・猶予されます 【296】平成18年度の年末調整について 【297】各業界における人材不足への懸念と対策 【298】話題の「ホワイトカラー・イグゼンプション」とは 【299】「高年齢者雇用確保措置」の実施状況 【300】「行政サービス・住民負担の地域格差」の実施状況 【301】企業による飲酒運転対策への取り組み 【302】会社に無断でアルバイトをしたら 【303】「年収130万円」の壁、働き方で変化 【304】給与は全額差し押さえられる 【305】医療制度改革に伴う患者の医療費負担引上げ 【306】新しい年金額通知サービス「ねんきん定期便」の概要 【307】定期健康診断の受診は個人の自由なのか 【308】「働く意欲」が強い50代 【309】「景気は拡大」は9割なのに… 【310】会社員の出張が増加しているのか 【311】欧州各国における子育て支援の現状 【312】患者に安心感を与えるクリティカルパス(診療計画表) 【313】日本・ベルギー間の社会保障協定締結 【314】診療報酬の「定額制」を導入へ 【315】派遣社員の事前面接が可能になる 【316】医療機関を悩ます消費税 【317】1年変形制における年休取得日 通常賃金の計算方法 【318】1年変形制における年休取得日 通常賃金の計算方法 【319】「毎月勤労統計調査」2006年分の結果は 【320】企業も派遣社員も知って得する「紹介予定派遣」制度 【321】増加する医療相談・苦情件数 【322】会社分割に伴って行われる転籍 【323】広がらない介護休業取得 【324】どうして訪問看護師が増えないのか 【325】見直される65歳以上の介護保険料 【326】介護休業はどのぐらい取得されているか 【327】口頭による採用内定に効力はあるか 【328】整理解雇の際に必要な「4要件」とは 【329】定年年齢を引上げるともらえる奨励金 【330】企業の育児支援策に対する助成金の拡充・新設 【331】4月から改正された公的年金制度のポイント 【332】出張先で飲酒中のケガは労災の対象になるか 【333】国民年金のカード払いが可能になる 【334】多くの確定拠出年金が運用放棄されている! 【335】パート労働者に健康保険も適用か
← Prev News Index Next→
Copyright 2001-2002 OptWorks Inc. All rights reserved. Contact Us