2007年4月4日(水) <第1824号>
− 『不祥事』 −
今週は多発する企業の『不祥事』について現状を見ていきます。
【03】品質汚染
いま日本の製造業は品質汚染の縮図なのか・・・。
経営陣のコスト優先、生産性優先の考えが影響しています。その結果、経営の中での品質の優先順位が相対的に下がっています。また人材の流出が技術力の低下を招いているのか『現場力』が低下しています。その現場とは・・・。
<電池メーカーとパソコンメーカー>
"情報共有が希薄になってしまった"
電池メーカーとパソコンメーカーとの情報共有が希薄になってしまったことが事故原因の一つです。製品が複雑になり、生産現場で必要な知識や技術が高度になっています。
それなのに、生産現場とそこで働く人々への敬意を失ってしまった、そのギャップが製品不具合を生み出す温床となっています。
<食品メーカー>
"数はごまかせないが品質はごまかせる"
多くの経営者が持っている、この間違った認識を改める必要があります。 目先のコスト削減を優先して品質を疎かにする傾向が長く続いてきました。
幸いにも品質重視の経営の方が結局は全体のコストが下がることに気づきはじめた経営者が増えてきました。
では,品質汚染を洗浄する方法は何なのか・・・。
先ずは「品質改善」です。
経営戦略の品質改善--->会社組織の品質改善--->生産工程の品質改善--->最終製品の品質改善--->トラブル報告書の品質改善
トラブル報告書の品質改善とは、品質や法令順守などに関するトラブルを最初に書くように、全面的に改めることです。
次に「強み」の再発見です。
日本の製造業の現場には凛々と引き継がれている「強み」があります。品質を語り、自ら動くトップの下で、全社一丸となって多様化、複雑化する不具合のリスクを丹念に潰していきます。
複合品質汚染を防ぐには、結局はそうした地道な方法が一番の近道です。設計に小さなミスがあれば、製造部門が発見して指摘します。設計部門は、工場でミスが減るような発想で設計します。
かつて日本企業はそうした連携プレーを武器に各部門の独立性が高い欧米企業を追い上げ、追い越してきたのです。
品質改善に特効薬はないですが、小さな不良を許さない国民性は、日本の最大の財産です。それをうまく活用する経営を取り戻せば、今後も世界最高の地位を維持できます。
(エッセイスト 大前乃英雄)
<バックナンバー>
【01】リコール(回収・無償修理)
【02】下品
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