2007年3月24日(土) <第1813号> ■労働・経営■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 【314】診療報酬の「定額制」を導入へ - ……………………………………………………………………………………… ○75歳以上の外来患者も対象に 厚生労働省は、75歳以上のお年寄りの外来診療について、医師の治療を1カ月に何回受けても医療機関に支払われる診療報酬を一定にする「定額制」を導引する方針を固めました。 寝たきりの在宅患者への往診など高齢者向け医療の一部ではすでに定額制が導入されていますが、これを外来医療へと拡大して医療費の抑制を図る考えです。 2004年度の75歳以上の医療費は9兆214億円で、医療費全体の28%を占めますが、高齢者に対し必要度の高くない医療が過剰に行われているとの指摘もあります。 こういった現状を改善する狙いの「定額制」ですが、患者の受診機会の制限につながる可能性や、医療機関がコストを下げようと必要な医療まで行わなくなる危険性もあり、今後、適用する疾病の範囲や条件を慎重に検討する方針です。 ○「定額制」を診療報酬体系の基本方針の柱に 2006年の医療改革で、75歳以上を対象にした保険制度を2008年度に創設することが決まっており、外来診療の定額制導入はその柱となります。 厚生労働省は2007年3月までに診療報酬体系の基本方針を出す予定で、社会保障審議会の特別部会で1月から本格的に検討を始める予定です。 患者は高血圧や心臓病、関節障害など特定の慢性疾患の医療機関をあらかじめ選びます。そこで一定回数以上受診すると、それ以上は何度受診して投薬や検査を受けても医療機関が健保組合から受け取る報酬は定額とされる方法などが検討される見込みです。 ○現在の診療報酬の問題点 現在の診療報酬は個別の診察や検査、投薬について細かく料金が設定され、それを積み上げて治療費が決まる「出来高払い」が基本です。 患者に多くの治療を行うほど医療機関の収入が上がる仕組みで、高齢者の外来医療では「過剰な診療で医療費の増加や病院・診療所のサロン化を招いている」との指摘もあります。 <バックナンバー> 【268】「マザーズハローワーク」の現状と課題 【269】晩婚・晩産化で女性の労働力が上昇 【270】成果主義賃金訴訟で社員逆転敗訴の判決 【271】外国人の従業員を雇う場合の注意点 【272】雇用保険 65歳以上でも新規加入が可能に 【273】コーポレートガバナンスを学ぶ 【274】賞与をめぐる状況 【275】2005年度の概算医療費が過去最高に 【276】雇用保険の基本手当日額が変更 【277】「地域別最低賃金」を2年連続引上げへ 【278】「労働審判制度」の利用状況 【279】横行する偽装請負と労働局による是正指導 【280】社員に対する資格取得援助費用の返還請求は可能か 【281】製造業や飲食業を中心に正社員が不足傾向 【282】仕事に関係のないウェブサイトの閲覧 【283】健康保険料率の上限が2008年度から引上げ 【284】企業におけるパワー・ハラスメント防止対策 【285】育児休業取得者増加への対応が重要に 【286】出産手当金の対象者・受給額の変更 【287】健康保険法改正でどうなる 【288】若年者をとりまく厳しい雇用環境 【289】民間給与が8年連続でダウン 【290】転職で失敗しないために必要なこと 【291】雇用保険料率が引き下げられます 【292】企業の子育て支援策と導入効果 【293】会社が指定した通勤経路の変更は認められるか 【294】「医療安全管理者」指針を作成へ 【295】被災時の医療費負担が減免・猶予されます 【296】平成18年度の年末調整について 【297】各業界における人材不足への懸念と対策 【298】話題の「ホワイトカラー・イグゼンプション」とは 【299】「高年齢者雇用確保措置」の実施状況 【300】「行政サービス・住民負担の地域格差」の実施状況 【301】企業による飲酒運転対策への取り組み 【302】会社に無断でアルバイトをしたら 【303】「年収130万円」の壁、働き方で変化 【304】給与は全額差し押さえられる 【305】医療制度改革に伴う患者の医療費負担引上げ 【306】新しい年金額通知サービス「ねんきん定期便」の概要 【307】定期健康診断の受診は個人の自由なのか 【308】「働く意欲」が強い50代 【309】「景気は拡大」は9割なのに… 【310】会社員の出張が増加しているのか 【311】欧州各国における子育て支援の現状 【312】患者に安心感を与えるクリティカルパス(診療計画表) 【313】日本・ベルギー間の社会保障協定締結
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