2006年9月30日(土) <第1638号> 「漢字の読み書きをしましょう」 − 国語の読解という視点から漢字力を養う − 「ろばをかついだ親子」(イソップ物語より) あるところに行商のために遠い地に商品を売りにいく親子が旅をしておりました。 親子は父と小さな息子ひとりで荷をかついでロバをひいておりました。 ある村に着くと村の人は言いました。 「あの親子を見てごらん、もったいないよね。」 「ほんとうだ、せっかくロバをひいているのになぜロバに荷を乗せないのだろう。」 「そうすれば楽なのにねえ。」 それを聞いた親子は、 「ほほう、まったくそのとおりだ。よし荷物をみんなロバに乗せよう。」 そしてまた次の村に着くとその村の人は言いました。 「あの親子を見てごらんよ、知恵がないねえ。」 「ほんとうだ、荷物をロバに乗せているよ。」 「あれではロバがもたないね、乗せるなら小さな子供を乗せるべきだよね」 すると親子は、 「これはまたいいことを聞いた、よしそうしよう。」 そして次の村に着くなり村人がこぞって言いました。 「あの子を見てごらん、なんて親不孝者だろう。」 「普通は親を乗せてあげて若くて元気な子が歩くよね。」 父親は言いました。 「そりゃあそうだ、おまえ降りなさい。私が乗っていこう。」 また次の村に着きましたが今度は村の人がこう言いました。 「ひどい親もいたもんだ、あんな小さな子を歩かせて自分はロバに乗っているよ。」 「子供の足を見てごらん、かわいそうに。」 父親は深く反省して、 「息子よ、かわいそうなことをしたな。しかし、どうしたものか。」 「父ちゃんも、ぼくも乗ればいいんだよ。」 「そうだな二人が荷物をしょって二人で乗ればいいのだろう。」 ところが次の村は動物保護の村で親子はさんざん言われてしまいました。 「なんてひどい親子だ、ロバがかわいそうだ。」 「あれは動物虐待だな。」 次の村で最後の旅になっていた親子は困ってしまいました。 「いったいわたしたち親子はどうすればよいのだろうか。」 「もうこれいじょう、方法がないね父ちゃん。」 「いや、一つだけしていない方法があったぞ!」 そうして親子は自分たちの荷物をしょってそれからふたりで なんとロバをかつぎあげました!。 最後の村に到着したらさあ、大変です。 「なんだあの親子、ロバをかついでいるぞ?。」 「あぶない親子だ、近よるのはやめよう。」 そう言ってだれにも相手にされずに商売もできなくなってしまいました。 おまけになれないことをされたロバもぐあいがわるくなってしまい、 親子はロバまで失ってしまいました。 イソップの教えでは、なんでも人のいうなりにしていると最後には自分を見失い、 だれからも相手にされなくなってしまうという教訓を説いています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 【重要漢字】 - ……………………………………………………………………………………… <政経> 06.パソコンの大量導入で仕事のノウリツがアップした。 07.資本を持つ者が最後に勝つのがカヘイ経済の常識である。 08.二十四時間休みなく働く彼はまさにキギョウ戦士だ。 09.全国的な流通キコウが充実した企業が市場を拡大させた。 10.地価のコウトウは不動産関係者をずいぶん儲けさせた。 <バックナンバー> 【01】不世出の強打者でもスランプにオチイることがある。 【02】増税反対をウッタえた政党が総選挙で大躍進した。 【03】今や二人の愛の成就をサマタげるものなど何もない。 【04】春風にサソわれて一家でピクニックに出かけた。 【05】叔父は貿易業をイトナむかたわら執筆活動をしている。 【06】大学受験にソナえて評判の高い問題集を購入した。 【07】名刑事の鋭い推理が事件のカクシンに迫る。 【08】才能ある新人の活躍が人々のカンシンを集めた。 【09】賃金引き上げのための会社とコウショウする。 【10】新製品はジュヨウが多くて生産が間に合わない。 【11】インフレは経済の成長をソガイする要因だ。 【12】不況のため企業の業績が赤字にテンカした。 【13】どんな天才的な画家でも最初はモホウから始める。 【14】パリのノートルダム寺院はゴシック建築のテンケイだ。 【15】ピアノ独奏曲をカンキョウの赴くまま一気に書き上げた。 【16】彼は西欧美術、ことに絵画史についてゾウケイが深い。 【17】芥川は『今昔物語集』をソザイにして多くの短編を書いた。 【18】耽美派の谷崎潤一郎は美とカンノウの世界を描いた。 【19】王は自らギセイとなることで国家滅亡の危機を救った。 【20】「神」は人間的現実をチョウエツした絶対的存在だ。 【21】象徴派の詩人は言葉のユウギにふけるものだ。 【22】文化のシュウゾクの違いによって挨拶の仕方も異なる。 【23】あの彼女に僕のこの熱い思いが通じたなんてキセキだ。 【24】生命のソンゲンを傷つける行為は、何人とて許されない。 【25】ペストはネズミをバイカイにして広まる病気である。 【26】コンキョの薄弱な論理は誤った結論を導いてしまう。 【27】ハトは鳥の一種だから鳥はハトを概念上ホウガンする。 【28】老猿が遠くを見つめる姿は深いシサクをしているようだ。 【29】作家は新しい文学の創造をシコウして精進を重ねる。 【30】動物の生態のタンキュウにより人間の本質がわかる。 【31】社員全員の努力で会社のギョウセキが急激に上がった
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