2006年7月16日(日) <第1562号>
■労働・経営■
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- 【255】「最低賃金」って何 -
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○「最低賃金制度」の概要
「最低賃金制度」とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定めたものであり、使用者はその最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとされています。
使用者が最低賃金より低い賃金条件を定めたとしても、それは無効となり、最低賃金額と支払った額との差額を労働者に支払わなければなりません。
○最低賃金には3種類ある
現在、最低賃金の種類には「地域別最低賃金」、「産業別最低賃金」、「労働協約の拡張適用による地域的最低賃金」の3種類があります。
「地域別最低賃金」とは、産業や業種に関係なく、すべての労働者とその使用者に対して適用され、47都道府県に1つずつ定められています。
平成17年のデータでは、最高が東京の704円(1時間当たり。以下同)、最低が青森、岩手、秋田、佐賀、長崎、宮崎、鹿児島、沖縄の608円となっています。
「産業別最低賃金」とは、特定の産業について、関係労使が基幹的労働者を対象として、地域別最低賃金より金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認められるものについて設定されており、現在、249の最低賃金が設定されています。
「労働協約の拡張適用による地域的最低賃金」とは、一定の地域の同種の労働者および使用者の大部分に賃金の最低額を定めた労働協約が適用されている場合、労使のどちらか一方の申請に基づいてその賃金の最低額がその地域のすべての労働者に拡張して適用される制度で、現在2つの最低賃金が設定されています。
○最低賃金の対象となる賃金
最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金に限られます。具体的には、基本給と諸手当(精皆勤手当、通勤手当、家族手当などを除く)が対象です。
最低賃金から除外される賃金には、臨時に支払われる賃金、賞与、時間外割増賃金などがあります。労働者には地域別最低賃金か産業別最低賃金が適用されます。
労働能力等が異なるため、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭める可能性がある労働者(精神または身体の障害により著しく労働能力の低い方、試用期間中の方、認定職業訓練を受けている方、所定労働時間が特に短い方など)については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件として個別に適用除外が認められています。
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