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2005年10月11日(火) <第1284号>

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                  - 【176】年金改正とポーツマス条約 -
     ………………………………………………………………………………………
 厚生年金保険の財政は、約100年かけてその均衡を図ることとしました。気の遠くなるような長期間にわたる改革です。今から100年前の明治38年には、ポーツマス条約が締結され、戦争が終結しました。日露戦争時の計画で今も機能しているものがあるのでしょうか。

 政府は、少なくとも5年ごとに、厚生年金保険の保険料および国庫負担の額ならびに保険給付に要する費用その他の厚生年金保険事業の財政に係る収支について、財政の現況および見通しを作成しなければなりません。

 厚生年金保険の財政収支は、前述のとおり、1世紀かけて均衡を図るため、この間に収支のバランスが取れない場合は、保険給付の額で調整することになっています。

 つじつまを合わせるのは百年後。昨年から保険料の引き上げが実施されています。平成29年9月以降は固定するということですが、引き上げ続けても財政が均衡しない場合は、年金額を引き下げることになっているのです。

 過去の改革は、年金額の削減と見込み違いの連続でした。

 昭和60年の改革では、厚生年金保険の報酬比例部分の給付乗率を生まれた年が遅い人ほど少しずつ下げることになりました。その結果、現在59歳より若い人は、79歳以上の人より報酬比例部分が4分の1減少しています。賃金上昇率の前提は年4.0%でしたが、実際の昭和60年から昭和63年の平均で年3.1%の上昇率でした。

 平成6年の改革では、加入期間で支給額が決まる定額部分の支給開始年齢を少しずつ引き上げることが決まり、平成13年から部分年金が始まりました。賃金上昇率を年4.0%と見込みましたが、実際は平成6年から平成11年にかけて平均で1.3%にとどまりました。

 平成12年の改革では、報酬比例部分の支給開始年齢も引き上げることが決まりました。男性は平成25年、女性は平成30年から引き上げが始まります。

 過去の改革では、賃金上昇率を高めに想定しすぎたため、保険料が見込みどおり集まりませんでした。その結果として、現在の保険料率の引上げや、給付の削減という事態を招き、改革は信頼を失っていったそうです。

 年金改革に対する信頼を取り戻すためには、将来の負担を軽減するために痛みを先送りしない私たち自身の勇気が必要だと思います。政治家やお役人のせいにばかりにはもうできません。

 100年先のことまで考えて政策をたてて、それが実際にどのような結末をもたらすかについては不確定要素が多すぎてだれにも断言できないでしょう。しかし、少なくとも今すべきことを先送りしないという精神は100年前を見習うべきかもしれません。


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