2005年9月14日(水) <第1257号> ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 【167】ライバル会社への転職を阻止できるのか - ……………………………………………………………………………………… 雇用環境が大きく変わる中、転職も珍しくなくなっています。転職に際し、これまでの知識や経験を活かすためライバル会社へ転職される方も多いのではないでしょうか。 職業選択の自由は憲法で明示された権利ですが、会社としては営業秘密や顧客を奪われるようなことがあると損害を被るため、裁判所は退職後についてもライバル行為を行わない旨の義務を課すことを一定の要件があれば認めていて、ライバル会社への転職を規制することができます。 <競業避止義務とは> 一般的には在職中は会社に対し、企業秘密をライバル会社に漏らすなどの行為が許されない競業避止義務を負っているとされます。この考え方を発展させ、特別な労働契約をあらかじめ結ぶことで退職後にも競業避止の義務を負わせることができます。 会社は資産を守るため、適切かつ必要最小限度の範囲で職業選択の自由に規制を設けることは許されると考えられています。具体的には職種の制限や、退職後一定期間はライバル会社での勤務を認めないといった規制です。 これに違反して強引にライバル会社へ転職すれば退職金を支払わないなどのペナルティを課すことができます。 また、会社の資産を退職者が転職の際に意図的に持ち出せば、損害賠償請求の対象になる可能性もあります。 <退職に関する特約の例> 退職の際のトラブルを防止するためにも、 就業規則によって次のような取り決めをしておくとよいでしょう。 ・在職中に扱った書類、伝票、帳簿などを返却する ・貸与されたパソコンやフロッピーディスク、携帯電話を返却する ・仕事で使っていた個人所有のパソコンから業務情報を削除する ・社内電話番号簿、社員連絡票などを返却する ・在職中に知り得た会社や取引先の秘密・個人情報を漏洩しない ・退職後2年間は競合他社に就職しない ・万一、機密情報や個人情報を漏洩したり使用した場合には、 それにより発生した損害について賠償する <バックナンバー> 【130】労働保険の強制加入の強化 【131】日本の労務管理の父 【132】派遣社員の最低賃金の見直し 【133】育児休業等の特例 【134】労働審判法が期待すること 【135】国民年金保険料の口座振替割引制度 【136】認知症を知る一年 【137】社員の副業は違法か 【138】中小企業退職金共済制度への移行 【139】求人は正社員重視に 【140】成果型退職金制度をご存知ですか 【141】悪貨は良貨を駆逐する 【142】次世代育成支援対策推進法 【143】未払い残業代問題の抜本的解決策 【144】産業医に求められる心の病対策 【145】健康保険組合の異業種間の合併が可能に 【146】高年齢者雇用安定法 【147】民間型ADR 【148】JIS Q 15001 【149】労働基準監督署の監督指導 【150】年間売上3億円・従業員30人未満 【151】フリーター20万人常時雇用化プラン 【152】職場における禁煙対策 【153】外国人労働者の適正な雇用 【154】労働者の疲労蓄積度診断 【155】個別労働紛争処理制度の利用が増加 【156】女性の坑内労働 解禁へ 【157】服装の自由はどこまでOK 【158】新連携 【159】労働基準監督署の臨検に必要なもの 【160】労働保険料の無駄使い 【161】社員に比べ手薄な個人事業主の社会保険制度 【162】公的年金と税金 【163】中年は人生の正午 【164】高齢者の医療制度改革 【165】男性の育児参加促進に助成金創設 【166】心の健康づくり
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