2005年8月4日(木) <第1216号> ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 【157】服装の自由はどこまでOK - ……………………………………………………………………………………… 今年の夏は、地球温暖化を防止するため、環境省から「クールビズ」が提案され、ノーネクタイ・ノー上着のファッションで夏を快適に過ごそうという試みがなされています。 会社にとって顧客や取引先に与えるイメージは重要ですので、「企業が服装や身だしなみについて合理的な規則を定めた場合、社員はこれに従う義務を負う」という判例があり、会社が勤務中の服装や身だしなみについてある程度管理することは妥当といえます。 社員は職務に支障のない範囲で髪の色や形・服装などの身だしなみを自由にできる権利があるといえますが、行き過ぎた服装や身だしなみによって会社が損害をこうむる恐れのある場合、業務命令として制裁を受ける場合があります。 ○身だしなみを規制するポイント 社員の身だしなみや服装を規制する場合、まず就業規則に規定することが前提となります。その上で採用時の説明や社内教育、朝礼等で日ごろから会社の方針を社員に浸透させることが重要です。 それらが行われていれば、業務に具体的な悪影響がある場合、会社が身なりや服装を制限する合理的な理由が確立することになり、業務命令として改善を促す根拠となります。 ただ、規則に反し改善支持に従わない社員を解雇できるかというと難しく、顧客や取引先からクレームが相次ぐなどの悪影響が生じない限りは「会社の品位やイメージを損ねる」といったあいまいな言い分での解雇は通用しません。 ○服装をめぐる主な裁判事例 過去の判例では「業務に具体的な実害があるかどうか」がポイントとなっています。 1980年、ハイヤーの運転手が口ひげを理由に乗務を外されたケースでは「乗客からの苦情はなく口ひげを生やしていても、業務に支障はなく口ひげをそる義務はない」と判断が下されました。 また、1997年茶髪を理由に男性社員が解雇された運送会社の事例でも「営業に具体的な悪影響を及ぼした証拠はない」として解雇は無効となっています。 <バックナンバー> 【130】労働保険の強制加入の強化 【131】日本の労務管理の父 【132】派遣社員の最低賃金の見直し 【133】育児休業等の特例 【134】労働審判法が期待すること 【135】国民年金保険料の口座振替割引制度 【136】認知症を知る一年 【137】社員の副業は違法か 【138】中小企業退職金共済制度への移行 【139】求人は正社員重視に 【140】成果型退職金制度をご存知ですか 【141】悪貨は良貨を駆逐する 【142】次世代育成支援対策推進法 【143】未払い残業代問題の抜本的解決策 【144】産業医に求められる心の病対策 【145】健康保険組合の異業種間の合併が可能に 【146】高年齢者雇用安定法 【147】民間型ADR 【148】JIS Q 15001 【149】労働基準監督署の監督指導 【150】年間売上3億円・従業員30人未満 【151】フリーター20万人常時雇用化プラン 【152】職場における禁煙対策 【153】外国人労働者の適正な雇用 【154】労働者の疲労蓄積度診断 【155】個別労働紛争処理制度の利用が増加 【156】女性の坑内労働 解禁へ
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