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2005年5月4日(水) <第1124号>

                    「沈黙は金なり」(『聴く』)(第9回)

          − 相手の話をじっくり聴くとコミュニケーションが円滑になる −

【09】相づちはタイミング(「上手に聞く」)
相づちとは読んで字のごとくで、鋼を鍛えるときの相方の打ち出す槌です。
(トン・チン・カンではなく、トン・テン・カンと聞こえます)
話し手のくせのなかに相づちを打つタイミングのヒントがあります。

相手の話すリズムをつかみ、それに合わせて相づちを打ちます。
相手の話を深めるかそのまま終わりにするかは相づち1つでコントロール可能です。

日常会話は相手を傷つけずに、話を深めずに終わらせるようにもっていきます。

− 話を深めないモード(○) −

主婦A
「このごろ、主人とうまくいかないの」

主婦B
「そんなこと、どこでもよ」(○)

主婦A
「そうかな」

主婦B
「そうよ。結婚して5年もたてば、どこでもよ」(○)

主婦A
「おたくもそう?」

主婦B
「そうよ」(○)

主婦A
「安心したわ」

主婦B
「あんまり深刻に考えないことね」(○)

主婦A
「ありがとう。ちょっと安心したわ」

主婦B
「それよりデパートでバーゲンしているでしょう。行かない?」(○)

主婦A
「行く。行く」

話は円満に日常レベルに戻っていきます。
どのようにご主人とうまくいっていないのかという、具体的な情報はお互いに聞きません。

− 話を深めるモード(×) −

主婦A
「このごろ、主人とうまくいかないの」

主婦B
「そうなの」(×)

主婦A
「なんか変なのよ」

主婦B
「気になるね」(×)

主婦A
「忙しいのかもしれないのだけど、あまり話をしないし、私が話しかけても、うわの空なの」

主婦B
「それは変ね」(×)

主婦A
「浮気しているのかなあ」

主婦B
「そんな感じあるの?」(×)

主婦A
「ないこともないのよ」

主婦B
「そうなの」(×)

主婦A
「この間もね、外泊してきて何も言わないのよ」

主婦B
「それはますます心配ね」(×)

ところが、
主婦B「それは変ね」を「そんなこと、うちでもしゅっちゅうよ」(○)とすると、
主婦A「そうなの」となり、
主婦B「あんまり深刻に考えないことね」(○)とうまくいなすと、日常の会話に戻れます。

話を深めるモードとは、会話の流れに逆らわないことです。
話をよく聞いている、すべて受容していることが伝わる相づちを入れます。

主婦A
「浮気しているのかな」(本心を出している)

Bさんがどう相づちを打つかが重要なポイントです。このとき、話を浅いままに止めるのなら、
「ご主人にかぎって、そんなことないわよ」と言えば、会話の進展は止まります。

しかし、Bさんが「そんな感じあるの?」と相手の話を受けると、話は次に進展していきます。
話の筋を読み、筋目を覚えることです。

「上手に聞く」ことはコミュニケーションにとっての最大の武器です。


<バックナンバー>
【01】「沈黙で売る」
【02】「素直に聞く」
【03】「話し上手は聞き上手」
【04】「真剣に聞く」
【05】「相づちを打つ(その1) 
【06】「相づちを打つ(その2) 
【07】「相づちにも種類がある」
【08】「くり返す(相づちの高等技術)」 

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