2005年5月3日(火) <第1123号>
「沈黙は金なり」(『聴く』)(第8回)
− 相手の話をじっくり聴くとコミュニケーションが円滑になる −
【08】くり返す(相づちの高等技術)
相手の話したいことをくり返すことは、素晴らしい相づちになります。
話し手である相手の甲さんが、偶然の不思議な出来事を、少し興奮気味にあなたに語ります。
話の途中は、ふつうの相づちを打てばいいのです。
ちょっとした区切り(間)ができたときに、「ヘえー、偶然に、不思議なことが・・・」とくり返します。
すると相手はただ聞いてもらった感じだけでなく、話の内容と自分の心情が理解された感じます。
くり返しの相づちは、「明快に」「短く」「要点をつかんで」「相手の使った言葉で」というのが大切なポイントです。
まずは甲さんの長い話のなかから、どの言葉がキーワードかを判断します。
次にあなたは、セレクトしたキーワードをくり返します。すると、相手の言葉で、要点をつかんで、短く、明快に、くり返したいことになります。
このとき甲さんの言葉をそのとおり使うのが決め手です。甲さんは自分の言葉どおりにくり返されると抵抗がないからです。
類似した内容でも、話し手と違う表現をするとあなたの解釈のように感じ、甲さんはもう一度くり返して話しはじめ、なかなか先に進めません。
たとえば
甲さん:本当に驚いたよ
あなた:へえ、びっくりしたでしょう
(違う言葉でくり返えしています)
甲さん:驚いたが、そんなにびっくりはしなかった
(抵抗されています)
「わかる」「わかるわ」「よくわかる」はプロの聞き手が使わない相づちです。相手の言うことがわかるというのは本当は至難の技だからです。
「わかる」という相づちは、聞き手が自分なりにわかったという、自己満足の相づちなのです。
「人間の心は究極的にわからない」のです。
「わかる」と思っている聞き手が相手から反発され、「わからない」と思って一生懸命に聞く人が、相手から自分を理解してもらえます。
<バックナンバー>
【01】「沈黙で売る」
【02】「素直に聞く」
【03】「話し上手は聞き上手」
【04】「真剣に聞く」
【05】「相づちを打つ(その1)
【06】「相づちを打つ(その2)
【07】「相づちにも種類がある」
← Prev News Index Next→
|