2005年1月9日(日) <第1009号>
■労働・経営■
<バックナンバー>
○ 井上 充さん
【61】タクシー運転手と請負
【62】タクシー運転手という仕事
【63】雇用情勢
【64】高齢者雇用の取組み
【65】NEET(ニート)
【66】技能系社員登用制度
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- 【67】個人業務委託 -
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2003年秋、独立行政法人労働政策研究・研修機構は、3年半の研究プロジェクト「多様な働き方を可能とする就業環境およびセーフティ・ネットに関する研究」を立ち上げました。
そして2004年9月には「就業形態の多様化と社会労働政策―個人業務委託とNPOを中心として―」が、インターネット上で発表されました。
この研究は、働き方の多様化が進展し、雇用か自営か不明瞭な働き方が増加しているという認識から始まったものです。自主性の高い働き方をしたい個人、人件費・福利厚生費負担を軽減したい企業、それぞれのニーズからこのような働き方は今後も増加していくものと予測されます。
研究発表では、中間領域の多様な働き方に対して、雇用と自営の連続性に配慮した政策展開が必要であり、これまでの雇用労働者を中心とした労働法をどう見直すかが大きな課題になりつつあると考えられています。
そして、今までの労働法が雇用労働者を念頭に置いたもので、就業形態多様化時代の今には適合していない部分が多々あることを認めたうえで、奨励的側面、保護的側面、公正競争の側面等を総合的に考えていく必要性を強調しています。
業務委託契約従事者をめぐる雇用・就業形態は、雇用契約と自営を対極に、間に中間領域1、中間領域2を置いて分類されています。
雇用契約は、典型雇用と非典型雇用に分かれ、典型雇用は、フルタイム正規労働者を指します。一方、非典型雇用は、日雇い労働者、短時間正社員、パートタイマー、契約社員、派遣労働者(登録・常用)、構内請負企業の就労者およびフリーターを指します。
中間領域1は、自営的雇用です。これには、タクシー運転手・保険外務員等の最低補償額が低い歩合給労働者、裁量労働等時間管理の緩やかな労働者、雇用型テレワーカー、マルチプルジョブホルダーが属します。
中間領域2は、雇用的自営です。これには、偽装自営や家族従業員・家内労働者のほか、分類困難な就業形態である経済的従属ワーカーが属します。
経済的従属ワーカーには、フランチャイズオーナー、プロスポーツ選手、芸能人、出版、広告、マスコミ、ソフトウェア、ゲーム業界、各種代理人・専門家、自営型テレワーカー、建設・運輸業従事者が含まれています。
自営には、人を雇っている経営者、独立契約者(インディペンデント・コントラクター)、従来型の自営業者が含まれます。
業務委託契約従事者では、仮装自営業者が含まれていないか、純然たる自営業者である業務委託契約においても、何らかの労働法的保護ニーズがあるかどうかを検討する必要があることを、当報告では提言しています。
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