2004年3月16日(火) <第832号>
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【最適設計】
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<バックナンバー>
【01】〜【29】
【30】節税としての個人型DC
【31】サービス残業
【32】事前指定書
【33】解雇に関する法改正
【34】有期労働契約に関する改正
【35】社会保険加入は調査後からという採決
【36】65歳まで雇用義務づけ
【37】暗黙知と形式知
【38】労災保険料を安くする
■労働・経営■
毎週火曜日は、社員や経営者の身の回りで起きている労働や経営の問題全般について社会保険労務士としてご活躍、また埼玉経営労務研究所代表でもある井上 充さんにコラムをお書きいただいています。
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- 【39】年金に関する2つの誤解 -
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公的年金に対する正しい理解を妨げる2つの誤解があります。それは、応益負担と応能負担という対立する2つの公平観と、積立方式と賦課方式という2つの財政方式です。
公的年金に加入しない、あるいは保険料を負担しない理由として、「どうせもらえないから」、「損するから」という声を聞きます。これは、公的年金という1つの制度に、応益原則と応能負担原則という2つの対立する公平間観が混在しているからです。また、年金財政の仕組みとして、積立方式ではなく賦課方式をとっているからです。
応益負担とは、保険給付を受ける可能性が高い人ほど保険料を多く負担すべきであるという“原則”です。民間保険ではこの原則が貫かれています。一方、応能負担とは、所得格差を縮小させ、所得の公平性を達成するために、所得の高い人ほど高い負担を課して、必要に応じて給付を受けることにより、所得を再分配するという“原則”です。社会保険では、応能負担原則が採用されています。
ある意味、社会保険で損得を論じること自体、国力と相互扶助の精神の衰弱を示しているのかもしれません。積立方式の年金は、人々が現役時代に支払った保険料を積み立てて、資産運用をして、取り崩すというものです。
それに対し、賦課方式の年金は、現役世代の支払った保険料がそのまま年金として高齢者世代に支払われる仕組みです。現在の現役世代の年金は、次世代の現役世代の保険料で賄われます。
日本も含めて先進諸国の年金制度は、実質的に賦課方式を採用しています。積立方式を採っているのは、シンガポール、マレーシア、チリなど一部の国だけです。
賦課方式の場合、年金の水準は、その時代の現役労働者の所得に対して、高齢者の生活水準はどの程度が望ましいかによって決まります。
年金利権に群がる年金官僚や、社会保険庁の経費無駄遣い、グリーンピア施設の経営実態などを槍玉に挙げて溜飲を下げるだけでは、問題は何も解決しません。
要は、少子・高齢化と経済の低迷が、年金水準を決定するのです。
● 「ナイス・ビジネス・パートナー」(NBP)
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