2004年1月22日(木) <第778号>
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【23】現況調査時の現物確認
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納税者は、現況調査時における現物確認の際に、自分が不利となることを避けるため、調査対象者等は種々の理由をつけて調査を回避したり、また、調査書類が不正計算の資料である場合に、事業に関係のない個人の私物であると主張して、書類の提示を拒否したり、又は事業所から持ち去ろうとすることがしばしば見受けられます。
この場合、調査官は、このように不正計算の資料を隠ぺい、又は調査対象者の申立てが事実と相違していると考えられる場合に、調査対象者の主張をそのまま受け入れるのではなく、調査に受忍義務があること理解させるとともに、調査担当者にも、守秘義務がある旨を十分に説明して調査の必要性を納得させつつ、調査協力を得るよう努めることが必要であるとして、次の手続きは確認します。
1.調査対象者の承諾
調査対象者に対し、現物確認を行うことの承諾を得ます。
○役職等から調査に関する重要性が低いと想定される場合
できる限り協力を求めるが、重要性が低いと判断される時は、必要以上に固執しません。
2.支店・事業所等への承諾の連絡
本社の調査責任者は、調査対象者が支店長等に対し、税務調査へ協力する旨の指示をした後に、支店等の調査担当者へ調査対象者の承諾を得られたことを伝えます。
支店・事業所等における現物確認は、調査対象者からの「承諾の連絡」があった後に実施し、それ以前に行うことのないよう注意します。
3.プライバシーの保護
自宅などのプライバシーの保護が重要視される場所(部分)の現物確認については、特に念押しし、明確な承諾を得た後に実施します。
特に女性の居住部分や女性のバッグ等の内容物の現物確認に当たっては、承諾を再度確認するなど慎重に実施します。
また、女性の居住部分等の現物確認が必要になると見込まれる場合は、出来る限り女性職員を同行するよう努めるとともに、女性職員が現物確認を担当するよう配意します。
4.立会い
自宅及び事務室等の現物確認に当たっては、調査対象者又は調査対象者が承諾した関係者(家族・役員・従業員・税理士等)で調査担当者が相当と認めた者(以下「立会人」という。)の立会いを求めます。
5.効果的な確認
調査担当者は、不正計算及び非違事項を想定し、調査に必要のある範囲で効率的に現物確認を実施する。机等は、調査担当者自身で直接開けずに、調査対象者又は立会人に開けてもらい、その中の書類等を出してもらった上で確認します。
6.調査記録の作成
トラブル等に備え、調査対象者の承諾の有無、現況調査の内容等について、調査対象者等との応接状況を調査書等に具体的に記録します。
7.問題が発生した場合の対応
現物確認を行っている際にトラブル・苦情等が発生した場合は、調査担当者だけで判断することなく、直ちに統括国税調査官等に報告の上、その後の対応について統括国税調査官等の指示に従います。
【ポイント】
○現物確認は、常に相手の承諾の下で実施します。
【個人の私物であると主張され現物確認の承諾が得られない場合】
○役職等により調査に関する重要人物であると想定される者の場合
調査対象者、役職等により調査に関する重要人物であると想定される者から、個人のカバン、バッグ等について、「個人の私物であり、事業には関係ない」などと主張され、現物確認の承諾が得られなかった場合は、更に説得を続けるほか、調査担当者を他の者に替え説得に努めるなど各種の方策を講じます。
また、どうしても承諾が得られない場合は、調査に対する協力を得つつ、他の調査手法(帳簿調査、反面調査、銀行調査等)による調査の展開を図ります。
○現物確認は、重要性を考えて実施します。
現物確認は、その重要性を考えて、必要がある場合には十分説明して承諾を得た上で実施するが、無理強いをすることのないよう留意します。
どうしても承諾を得られない場合、あるいは重要性が低いと想定される場合などは反面調査等他の方法で調査を進めます。
○プライバシーに関する部分の現物確認は、特に念押しするなど明確な承諾を得ます。
居宅、バッグ、手帳など、プライバシーに関わる部分、特に女性に関するものについて現物確認を行う場合は、更に念押しするなど明確な承諾を得た後で実施します。
<バックナンバー>
【01】〜【21】
【22】伸びる人材と企業の見極め方
●「ナイス・ビジネス・パートナー」(NBP)
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