2003年11月13日（木） <第708号>

■「奈穂の税務相談」■

┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏　┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏
　　　　　━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-　【15】社員旅行の経済的利益　-
　　　　　………………………………………………………………………………………　
○レクリエーション費用の非課税
　所得税法では、原則として、給与所得者がその使用者から受ける金銭および金銭以外の物は経済的な利益を含めて給与所得の収入金額とされます。したがって、社員旅行も原則としてその経済的な利益が現物給与として給与所得の収入金額とされます。

　使用者が役員・使用人のレクリエーションのために社会通念上一般的に行われていると認められる会食、旅行、演芸会、運動会等の行事の費用を使用者が負担することにより、これらの行事に参加した役員・使用人が受ける経済的な利益については、給与課税されないことになっています。これは社会通念上一般的に行われているレクリエーション行事は、簡易なものが多く、参加者全員の希望を十分に満たすものばかりではなく、また、受ける経済的な利益も少額と認められることから少額不追求の観点から強いて課税しないこととされているものです。

　ただし、自己の都合により会食、旅行、演芸会、運動会等の行事に参加しなかった役員・使用人に対してその参加に代えて金銭を支給する場合には、参加者・不参加者を問わずにその不参加者への支給額に相当する給与の支給があったものとして給与課税されます。

　使用者の業務上の必要に基づく不参加者にのみ、その費用相当額を支給したときは、その不参加者についてだけ給与課税されます。

　役員だけを対象として使用者がこれらの行事の費用を負担する場合には、その行事に参加した役員に対して、その負担した費用の額に相当する給与の支給があったものとして給与課税されます。

○社員旅行の非課税
　使用者が役員・使用人のレクリエーションのために行う旅行の費用を負担することにより、これらの旅行に参加した役員・使用人が受ける経済的利益については、その旅行の企画立案、主催者、旅行の目的・規模・行程、従業員等の参加割合、使用者と参加従業員等の負担額・負担割合などを総合的に勘案して、その旅行が会社主催の旅行であるかどうかの実質判断を行うこととなります。役員・従業員の受ける経済的な利益の額が少額不追求の趣旨の範囲内に止まる程度のものであり、次のいずれの要件も満たしている場合には、原則として給与課税されません。
●その旅行に要する期間が4 泊5 日(目的地が海外の場合には、目的地における滞在日数)以内のものであること。
●その旅行に参加する役員・使用人の数が全役員・使用人(工場、支店等で行う場合には、その工場、支店等の役員・使用人)の50%以上であること。

　なお、上記のレクリエーションのために行う旅行に係る取扱いは、あくまで使用者主催の新年会、忘年会、ボーリング大会等の簡易なレクリエーション行事に対する取扱いの一環であり、役員・従業員の受ける経済的な利益の額（使用者負担額）が多額なものについてまで非課税とされるものではありません。

　したがって、役員・使用人の個人的な旅行について、使用者が各役員・使用人に金銭で支給するような場合には、通常の手当と変わりなく給与として課税されます。

○永年勤続者の招待旅行
　使用者が永年勤続者の表彰に当たり、その記念として旅行、観劇等に招待し、または記念品を支給することによりその永年勤続者が受ける経済的な利益については、次のいずれにも該当する場合には給与課税されません。
●その経済的な利益がその永年勤続者の勤続期間等からみて社会通念上相当と認められること。
●その表彰が、おおむね10年以上の勤続年数の者を対象とし、かつ、2回以上表彰を受ける者については、おおむね5年以上の間隔をおいて行われるものであること。
　
　なお、金銭や金券、旅行券を支給する場合には実質的に金銭を支給したのと同様であり、原則として給与課税されます。ただし、旅行券を支給する場合でも、その旅行券を支給してからおおむね1年以内に旅行をして、その旅行におけるホテルの領収書等により支給した旅行券が使用されていることを確認している場合には給与課税されません。

●「ナイス・ビジネス・パートナー」(NBP)
┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏　┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏ ┏

← Prev　　　News Index　　　Next→