2003年10月28日(火) <第692号>
■労働・経営■
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- 【21】就業規則未作成の従業員の労働条件 -
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パートタイマーを比較的多数雇用している顧問先の人事部長から、パートタイマーの入院見舞金の件で問合せがありました。
その内容というのは、「私傷病で入院していたパートタイマーから会社が入院見舞金の請求を受けたが、同社の就業規則には入院見舞金を支給する旨の規定はあっても、この規則は正社員を対象としており、パートタイマー向けの就業規則は作成していない。つまりパートタイマーは入院見舞金の対象とはなっていないので、その申出を拒否することはできるか」というものでした。
当事務所は次のように回答しました。パートタイマー向けの就業規則が定められていない場合、正社員用に定められた就業規則がパートタイマーにも適用されますので、見舞金の請求を拒否することはできません。なぜなら、就業規則は労働者の就業上遵守すべき規律や労働条件について具体的に定めたもので、すべての労働者について作成しなければならず、その規定は事業主・労働者ともこれに拘束されることになっているからです。
そして、パートタイマー・アルバイトが就労しているにもかかわらず、正社員向けの就業規則しか定めていない場合は、就業するすべての従業員に正社員向けの就業規則が適用されることとなります。
したがって、顧問先の会社の場合、正社員向けの就業規則しかありませんので、入院見舞金の支給はもちろん慶弔金などの支給規定も、正社員同様パートタイマーに適用されることとなるのです。
パートタイマー等、事業場の一部の従業員について正社員と異なる労働条件を定める場合、その従業員についてのみ適用される別個の就業規則を作成することが可能です。例えばパートタイマーのみに適用する就業規則を作成する場合には、就業規則の本則においてパートタイマーを定義したうえで労働条件の適用範囲を定めることで対応することができます。
具体的には、「パートタイマーには○○章の規定は適用しない」との除外規定や、「パートタイマーは別に定めるパートタイマー就業規則による」等の委任規定をもって対応します。パートタイマー等の就業規則がない状態でいると、場合によっては退職金の請求さえ受けることにもなりかねません。「退職金は正社員のみ支給する」と明確に規定していれば問題はありませんが、市販の就業規則をそのまま使っているような場合は禍根を残しかねません。
今一度、会社の就業規則を読み直すことをお勧めします。
●「ナイス・ビジネス・パートナー」(NBP)
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