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2003年10月9日(木) <第673号>

■「奈穂の税務相談」■

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      - 【10】病院の経営者が同族会社に支払う医薬品仕入れは認められるか -
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○事実の概要
(1)A薬品の社員構成について
 A薬品が提出した法人税申告書によれば、請求人はA薬品の代表取締役で、かつ、A薬品の出資持分の97%を所有していること。したがって、A薬品は、同族会社に該当すること。

(2)医薬品の仕入れについて
・A薬品が提出した法人税申告書によれば、A薬品の営む事業は、医薬品の卸売であり、近隣のビル内に本店を置いていたが、その本店は事実上事業の本拠として用いられたことはなく、また、事務所13.375 平方メートルを有しているが、他に医薬品の倉庫及び医薬品運搬用の貨物自動車はなく、医薬品卸売業一般にみられるような物的施設を欠いていること。

・また、請求人の経営する病院の事務責任者でありA薬品の経理事務担当者であるB男(以下「B 男」という。)は当審判所の質問に対し、A薬品はパートの女子従業員1名を雇い事務を行わせていたが、同人が退社した以降は、専任の従業員はなく、医薬品の仕入れ、納品等に伴う伝票処理等の手続は、B男が担当していたと答述していること。
 なお、B男は、薬剤師の資格など医薬品についての専門的知識を有する者ではなく、請求人が経営する病院の総務課長として、病院施設の管理、病院の経理その他の事務に従事する傍らA薬品の伝票処理等に携わっていたもので、B男が処理する事務のうちに占めるA薬品の薬品販売に関する事務の比重は、極めて軽度のものであったこと。

・A薬品が行っていた医薬品の販売には、請求人の経営する病院以外の病院、医院ないし消費者等に対するものはなく、すべて請求人に対するものであり、A薬品は、請求人から注文を受けた医薬品を医薬品卸売業者に発注し、納入を受けると、調剤、分包その他格別の加工等をすることなく、そのまま仕入れ当日付で請求人あての納品伝票を作成していたこと。

・請求人が提出した請求人の帳簿書類及びA薬品の帳簿書類によれば、請求人の医薬品の仕入れの状況は医薬品の種類又は月によって異なっており、まず、劇薬等特定の医薬品についてはA薬品を経由しないで請求人が医薬品卸売業者から直接仕入れており、劇薬以外の薬品については、ある月は、すべてA薬品を経由して医薬品を仕入れ、また、ある月は、全くA薬品を経由することなく、すべて請求人が医薬品卸売業者から直接仕入れ、さらに、ある月は、医薬品卸売業者のうち一部のものはA薬品を経由して医薬品を仕入れることとし、それ以外の医薬品卸売業者からは請求人が直接仕入れることとしていたこと。
 なお、仕入れの方法が月によりこのように区々に別れていることについて、B男の答述によれば、請求人の指示によったというのみで格別これを必要とした合理的な理由の説明はないこと。

・請求人がA薬品を経由して仕入れた医薬品の価額について、B男は、厚生省が定めた薬価基準によったと答述していること。
 なお、その薬価基準は、診療機関が医薬品を用いて社会保険による診療行為を行った場合、社会保険支払者に対する診療報酬の請求の際に、その算定基準として用いられるものであること。

○原処分庁の主張
適正仕入れ金額は、それぞれ次のとおり算定した。
                    <同業者の平均差益率>
                        1年目10.46%
                        2年目10.92%
                        3年目11.39%

○判断
(1)同族会社のした当該行為又は計算が通常行われる経済取引の形態に照らし異常、不合理なものか否かによって、これを決するのが相当である。

(2)請求人は、医薬品卸売業者から市場の正常な取引価額で医薬品を仕入れることができるにもかかわらず、特定の月あるいは特定の医薬品卸売業者からの仕入れに関して恣意的にA薬品を経由した経理処理を行うことにより高額な医薬品を仕入れていたことが認められる。これらの行為の結果、請求人は、医薬品の仕入れに関しA薬品に不当に利益を与えることになるが、それは純経済人の行為としては不自然、不合理であり、請求人らの場合のように同族会社とその役員という関係にあるがゆえに可能な行為又は計算であると認められる。

(3)また、原処分庁は、類似同業者の差益率を用いて適正仕入れ金額を算定すべき旨主張する。しかしながら、これらの主張は、A薬品が、医薬品卸売業者としての実態を備えていないことを看過したものであって採用できない。

(4)ここに、医薬品を請求人が医薬品卸売業者から直接仕入れた場合との価額には、差異があるとは認められない。

○対策
同族会社が医薬品卸売業者としての実態を備え、一般的な医薬品卸売業者の平均差益率(10%強)を用いて請求していれば是認されたものと考えます。

「ナイス・ビジネス・パートナー」(NBP)
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