2010年7月14日(水) <第2574号> − Aとのコミュニケーションをデザインする − 美しい日本語は、あいさつ語が大部分である。あいさつ語とは、「声をかける」ことばである。 「ありがとう さよなら はい おはようございます わたくし さわやか あなた おやすみなさい すいません どうぞ いいえ いらっしゃいませ おかあさん ほのぼの ごめんなさい しぐれ たそがれ はは いただきます いってらっしゃい うららか こんにちは ふるさと・・・・・・」。 これによって、相手との距離がぐっと縮まる。この声の接触行動が自己表現の道を開く。 55.恩に着せるようなことは言わない妻 恩に着せるような言い方は、日本人は嫌う。 例えば家庭でも。 夫が仕事から帰ってきた。 帰ったとき妻がお茶を入れる。 そのとき妻は何と言うか。 日本人の妻 「あなた、お茶が入ったわよ」 これは、素晴らしい日本語だ。 「お茶が入ったわよ」と言っても、お茶は自然に入るものではない。 お茶が入るためには、妻はお湯を沸かし、急須にお茶の葉を入れ、 お茶碗に注ぎ、適当なお茶菓子を添える。 それだけの手間をかけているのだ。 アメリカ人の妻だったら何と言うか。 アメリカ人の妻 「私はあなたのためにお茶を入れたのよ」 アメリカ人の夫 「すまない、ありがとう」 とか言ってお茶を飲むことになるだろう。 日本の妻は、お茶が自然に入っているように言うのだ。 だから日本の亭主は「ありがとう」なんて言わない。 日本の夫 「うん」 これでおしまいだ。 お茶に限らない。 「あなた、お風呂が沸いているわよ」 「あなた、ご飯ができたわよ」 「あなた、お布団が敷いてあるわよ」 妻は、自分がしたことはいっさい言わない。 これは、日本人の修養だ。 日本人は、相手に恩に着せるようなことは言わないことになっている。 − 明日(7/15)は『56.職業を尋ねる医師』を掲載します − <バックナンバー> 00.子どもの心をつかむ 01.事例 02.コンビニの店員の心をつかむ? 03.レストランで接客している女性 04.職場で具合の悪そうな部下を見つけた上司 05.「わかりません」と答える研修医A 06.不定愁訴(”愚痴外来”) 07.聴き遂げる 08.真摯に耳を傾ける 09.外科医と患者 10.年配の男性のお客 11.魚売り場の店員 12.不安はあるが暗くはない家族 13.ぐっと言葉を呑み込んだ上役 14.会議室から急ぎ退室する上司 15.感動した新人の頃 16.設計 Vs. 営業 17.やってられない、部下 18.気配りのよい人 19.”おとな”の夫 20.仕事で納得いかない後輩 21.話の流れを作る人 22.上司のよく使う表面的なコトバの裏のホンネ 23.大工の棟梁 24.女子社員用「社員用語集」 25.「報告」する警察官 26.普通の母親と良い母親 27.教師に対して、腹を立てている中学生 27.教師に対して、腹を立てている中学生(続き) 28.離婚した母と子 29.早口の女子大生 30.「働いてどうなるの?」と聞く若者 31.繁盛している食堂のおやじ 32.大阪の小学生 33.ふつうの患者とみごとな歯医者 34.禅師 35.『今自分が生かされている』お母さん 36.元気になれることを知ったAさん 37.子どもたちから教わる小児科医 38.自然にそんな気持ちにさせた精神科医 39.死んでいく鼬 40.「じゃあ」する子ども 41.心の専門家 42.静かに死なせてもらえない親父 43.「もう一度」と諭す親父 44.泥棒に「働け」と言ったばあちゃん 45.母と子の関係が切ない親子 46.「現実を見なきゃあだめだよ」と言った孫 47.でもムリだよね、という中学生 48.若者たちに経験を語るA技術者 49.天晴れ、ばあちゃん 50.ルパン三世のヒロイン峰不二子 51.反抗期の長男A 52.末期がんの患者さん 53.痛みは、痛みとして受け入れている医者 54.患者がこころのなかにしまいこんでいるものを引き出していく看護師 55.恩に着せるようなことは言わない妻
← Prev News Index Next→
Copyright 2001-2002 OptWorks Inc. All rights reserved. Contact Us