2010年1月16日(土) <第2395号> − Aとのコミュニケーションをデザインする − 美しい日本語は、あいさつ語が大部分である。あいさつ語とは、「声をかける」ことばである。 「ありがとう さよなら はい おはようございます わたくし さわやか あなた おやすみなさい すいません どうぞ いいえ いらっしゃいませ おかあさん ほのぼの ごめんなさい しぐれ たそがれ はは いただきます いってらっしゃい うららか こんにちは ふるさと・・・・・・」。 これによって、相手との距離がぐっと縮まる。この声の接触行動が自己表現の道を開く。 27.教師に対して、腹を立てている中学生 卒業式をまじかに控えたころのある噂。 3年生の男子生徒たちが2人の教師を池に投げ込むらしいという話が聞こえて、 職員会議で取り上げられる。 そこで学年担任が、2人の[首謀者]と話すことになり、3人の対談がはじまる。 教師T(1) 「前からじっくり君たちと話をしたいと思ってたんだ」(自己開示) 生徒A(1) 「おれたちも話したかったんだ。話っていっても、英語と数学の文句だけどさ」 生徒B(1) 「そうだよ。文句ならいくらでも話してやるよ」 教師T(2) 「そうか、気に入らないことがいろいろあるんだな」(明確化) 生徒A(2) 「あるよ。大ありだよ、文句しかねえよ」 教師T(3) 「文句がいっぱいあるのは英語と数学の授業だと言ったけど、その文句を聴くのは、 僕でいいかな?」(質問) 生徒A(3) 「ああ、いいよ。な?(B:うん)英語も数学も、だいたい教師が生意気なんだよ、 えばってんだよ。おれたちのことをバカにしてんだよ。恥かかせやがってよー」 教師T(4) 「うーん、二人とも辛かったんだ。たとえば恥をかかせられるってどういうことなのかな、 詳しく話してくれないか」(質問) 生徒A(4) 「先生が質問しても、みんな指されたくないから下を向いちゃうんだ」 教師T(5) 「うーん。それで?」(受容) 生徒A(5) 「そうすると、下を向く奴は指すぞって脅かすんだ。だから上を向く。そうすると指す。 それで答えられないと今度は、わからないのにのん気な顔して君は大物だよ、 かと言ってバカにするんだぜ、許せないよ」 教師T(6) 「それがバカにされる、恥をかかされるってことなんだ。それは辛いよね」(支持) 生徒B(2) 「おれなんか指されるとさ、あーあ学校なんてなくなっちゃえばいいと思うんだ」 生徒A(6) 「くやしいよ、ほんとは殴ってやりたいよ。殴りたいけどみんな我慢してるんだ。な?」 教師T(7) 「殴りたいけど、我慢している」(繰り返し) 生徒B(3) 「思いっきし殴りてーよ」 教師T(8) 「殴ったらそれで許せないっていう気持ちがなくなるかな」(質問) 生徒A(7) 「そうはいかないよ。おれたちにも皆にも謝ってもらいたいよ」 教師T(8) 「二人の気持ちは、先生に謝ってもらいたい。そうすればスカッとする。そう考えていいかな」 (明確化) 生徒A(8) 「でもあいつら謝りっこないよ」 担任は二人とその後も話し合いをおこない、その結果を関係する先生に報告した。 − 明日(1/17)は『27.教師に対して、腹を立てている中学生(続き)』を掲載します − <バックナンバー> 00.子どもの心をつかむ 01.事例 02.コンビニの店員の心をつかむ? 03.レストランで接客している女性 04.職場で具合の悪そうな部下を見つけた上司 05.「わかりません」と答える研修医A 06.不定愁訴(”愚痴外来”) 07.聴き遂げる 08.真摯に耳を傾ける 09.外科医と患者 10.年配の男性のお客 11.魚売り場の店員 12.不安はあるが暗くはない家族 13.ぐっと言葉を呑み込んだ上役 14.会議室から急ぎ退室する上司 15.感動した新人の頃 16.設計 Vs. 営業 17.やってられない、部下 18.気配りのよい人 19.”おとな”の夫 20.仕事で納得いかない後輩 21.話の流れを作る人 22.上司のよく使う表面的なコトバの裏のホンネ 23.大工の棟梁 24.女子社員用「社員用語集」 25.「報告」する警察官 26.普通の母親と良い母親 27.教師に対して、腹を立てている中学生
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