2007年3月31日(土) <第1820号>
− さまざまな人たちとの対話 −
今週はコミュニケーションの約束事とコミュニケーションの現状を見ていきます。
対話の目的は、対話とコミュニケーションを理解し、その可能性を広げることにあります。
【06】コミュニケーションの未完了をもたらすもの(その2)
2.評価を加える
コミュニケーションは「同意」によって発展し、「評価」によって頓挫します。相手が今この瞬間思ったことや相手が言っていることに対して「評価」を加えると、相手はそれ以上話す意欲がなくなるか、より強い自己主張をするしかなくなります。
相手が今そう思ったのであれば、それはそうなのです。相手の考えに同意するかどうかは別にして、そう思ったということには同意できます。
コミュニケーションでは、「同意」が大切です。「同意」がコミュニケーションを完了させます。
3.受け入れがない
先ずは最初から終わりまで聴きます。次に同意できるところ、受け入れられるところ、相手の肯定的な意図を見つけることが大事です。
A
「気分はどうですか?」
B
「いやあ、よくないです」
A
「なんで?」
これでは完了していません。先ずはBさんが気分が悪いことを受け取ってから、次のコミュニケーションをはじめる必要があります。
A
「気分はどうですか?」
B
「あまりよくないですね」
A
「そうですか、気分がよくないんですね」
これで完了です。
A
「どこか具合が悪いんですか?」
B
「風邪かもしれません」
A
「風邪かもしれないですね」
と続ければ、再び1つ完了します。
完了は同意、またはヴィジョンの共有によってもたらされます。実際のコミュニケーションでは、ボールが返ってこないままで終わってしまうことが多くあります。同意や受け入れがないと、コミュニケーションの未完了は生じます。
では、こんな場合はどうでしょうか。
A
「気分はどうですか?」
B
「いやあ、よくないですね」
A
「みんなは楽しそうですよ」
これも完了していません。AさんはBさんの投げ返したボールを受け取らず、無視したのも同然です。Bさんは気分が悪いことを非難されたように感じ、どうしてなんだろう、どうせ私の言うことは聴いてもらえないと、自問自答を繰り返すことになります。
このように、実際のコミュニケーションの場では、1つのコミュニケーションが完了しないうちに、別のコミュニケーションがはじまってしまうことがよくあります。
4.返事がない
提案したのになんの返事もない。
挨拶したのに反応がない。
声をかけたのに返事がない。
出した手紙に返事がない。
ボールを投げたのに受け取れない、返ってこない・・・。
未完了とは、そのことがずっと「気がかり」になっている状態です。いくつもの未完了をかかえることは、それらのことに多くの注意を奪われることになります。未完了はエネルギーを奪います。
コミュニケーションをはじめたら、必ず完了させなければいけません。完了に向けて発展させていかなければなりません。過去の未完了のコミュニケーションは、その人の中に蓄積され、今のコミュニケーションに影響を与えます。
(コーチ 小江戸)
<バックナンバー>
【01】コミュニケーションを広げる
【02】コミュニケーションの約束事
【03】コミュニケーションにおける距離感
【04】コミュニケーションの事例(その1)
【05】コミュニケーションの未完了をもたらすもの(その1)
|
← Prev News Index Next→
|