2006年11月23日(木) <第1692号> ■労働・経営■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ - 【288】若年者をとりまく厳しい雇用環境 - ……………………………………………………………………………………… ○若年者の高失業率 先ごろ発表された平成18年度版国民生活白書は、「多様な可能性に挑める社会に向けて」をテーマに掲げ、若年者、女性、高齢者の働き方に関する"再挑戦"に焦点を当てています。 特に、若年者の失業率は平成15年のピーク時からやや好転したものの、他の年齢層に比べると著しく高く、大きな社会問題となっています。定期収入が得にくいなどといった問題を抱える若年者も少なくありません。 ○正社員の減少、非正社員の増加 若年者が労働条件に不満を持つ背景には、大卒・高卒ともにパート・アルバイトでの採用割合が増えていることがあります。大卒直後の正社員採用比率は、1992年に88.6%であったものが、2002年には66.7%にまで下降しました。 若年者の多くは、正社員として働く意欲がないためにフリーターやニートになっているわけではないという指摘もあります。景気の悪化により、企業は新卒者の正社員採用を抑制せざるを得なくなり、人件費が安くて雇用調整をしやすい非正社員採用の需要が増えたことが、非正社員の増加に影響しているようです。 ○若年者の適職探しを阻む「壁」 国民生活白書によれば、30%程度の企業が若年者のフリーター経験をマイナスに見ており、その理由として、「根気が無くいつ辞めるかわからない」「責任感がない」などといったことを挙げています。 また、日本では、「新卒一括採用」の慣行が根強くあります。そのため、専門能力や職務経験の蓄積が問われる中途採用市場では、若年既卒者は不利にならざるを得ません。企業側の意識や慣行が、若年者の適職探しを阻む壁の1つになっています。 ○『多様な可能性に挑める社会』に向けて 現在の状況では、新卒時に学校経由の就職に失敗して正社員になれなかった若年者の再チャレンジは、難しいのが現実です。 新卒時の境遇で人生の明暗が分かれるのではなく、一個人が人生の中で年齢やライフスタイルによって正社員、非正社員を選択することができ、一定の収入や社会保障も確保されるべきではないでしょうか。 <バックナンバー> 【268】「マザーズハローワーク」の現状と課題 【269】晩婚・晩産化で女性の労働力が上昇 【270】成果主義賃金訴訟で社員逆転敗訴の判決 【271】外国人の従業員を雇う場合の注意点 【272】雇用保険 65歳以上でも新規加入が可能に 【273】コーポレートガバナンスを学ぶ 【274】賞与をめぐる状況 【275】2005年度の概算医療費が過去最高に 【276】雇用保険の基本手当日額が変更 【277】「地域別最低賃金」を2年連続引上げへ 【278】「労働審判制度」の利用状況 【279】横行する偽装請負と労働局による是正指導 【280】社員に対する資格取得援助費用の返還請求は可能か 【281】製造業や飲食業を中心に正社員が不足傾向 【282】仕事に関係のないウェブサイトの閲覧 【283】健康保険料率の上限が2008年度から引上げ 【284】企業におけるパワー・ハラスメント防止対策 【285】育児休業取得者増加への対応が重要に 【286】出産手当金の対象者・受給額の変更 【287】健康保険法改正でどうなる
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