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2005年11月23日(水) <第1327号>

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                  - 【192】最低賃金法に問題ありか -
     ………………………………………………………………………………………
 労働者の生活安定を目指す法律に「最低賃金法」がありますが、法で定めた水準を下回る賃金しか支給しない企業が中小を中心に後を絶たず、うまく機能していないようです。

 労働政策審議会で見直しの議論が始まりましたが、賃金体系が以前と大きく変わってきている事情もあって有効な法律にできるかどうかは未知数のようです。

○最低賃金法とは
 最低賃金法は、労働者に最低限の賃金を保障するほか、企業間の公正な競争を促す狙いで1959年に制定され、地域や業種ごとに最低賃金額が決められています。

 違反企業には罰金を科す決まりとなっていますが、実際には罰則が適用されるまでには至らず、厚生労働省は最低賃金法違反の告訴状況を公表していないため、罰則規定による抑止効果はほとんど機能していないようです。

○違反の背景は
 多くの企業でこれまでの労働時間を基準とした賃金体系から、実績に見合った給与を払う成果主義賃金へと変わってきていることも違反を助長する結果となっているようです。

 成果主義は優秀な実績をあげた社員の努力に報い、さらに意欲を引き出すための賃金制度ですが、成果が出ないと収入は大幅に減ってしまいます。また、「成果」の度合いは会社が判定するため、労働時間のようにわかりやすい客観的基準を定めにくい場合もあります。

○水準自体に問題も
 そもそも法で定める最低賃金の水準そのものに異論がでています。身体的な事情などで働けない人々に対して一定の条件の下で国が文化的な最低限の生活を保障する生活保護の仕組みがありますが、最低賃金の額は都市部を中心にその生活保護の支給額を下回っています。
 
 欧州諸国の最低賃金は労働者の平均賃金の50%以上に設定されているのが一般的ですが、日本の最低賃金は労働者の平均賃金の3割強にとどまっているのが実態です。
 
 今年6月から労働政策審議会の最低賃金部会で制度の抜本的見直しの作業が始まりましたが、最低賃金制度が労働者の生活を支えるセーフティネットであるならば、違反の取締り強化は大前提で、現実に即した内容に改める必要があるでしょう。


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